更新日:2025.9.16
債券と株の違いをきちんと説明できますか?そもそもの前提の違い
債券をポートフォリオに入れることを考えているものの、「債券と株の違いって?」「債券を新NISAで運用する意味はある?」など、疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
一般的に、債券は「守りの資産」、株は「攻めの資産」とされます。
新NISAやiDeCoでは債券にも分散投資すべきかというと、投資目的や年齢によって異なるものの、リターンが小さくなるため、あまり推奨はできません。
本記事では、債券と株の金融商品としての違い、債券と株のリターンについて実際の商品での比較、債券をポートフォリオに入れる場合の考え方について解説しています。
Contents
債券と株、それぞれどんな金融商品なのか?

債券とはどういう仕組みの商品なのか?
債券とは、国や企業などの発行体に「お金を貸す」代わりに、利息を受け取り、最終的に元本が返ってくることを前提とした金融商品です。
例えば、国債は国に、社債は企業に、お金を貸すイメージとなり、発行体は調達した資金を運用や事業に活用します。
投資家にとって債券のメリットは、あらかじめ利率や償還日(満期日)が決まっている点です。
債券を満期まで保有すれば、原則として元本と利息を受け取れるため、安定的な収益が見込めます。
ただ、発行体が破綻すれば返済が滞るリスクがあり、また途中で売却する場合には市場金利や価格変動の影響を受ける点には注意が必要です。
債券は「守りの資産」に位置づけられ、資産運用の中心にはなりづらいものの、リスクを低減することを目的にポートフォリオに加えることも一考に値します。
株式とはどんな特徴があるのか?
株式は、企業に「出資」してオーナーの一部になることで、株価の値上がりや配当金を受け取れる金融商品です。
債券が「貸す」のに対し、株式は「資本を提供する」点が大きな違いです。
株主になることで、企業の利益の一部を配当金として受け取れるほか、株価が値上がりすれば売却益を得ることができます。また、一部の上場株には株主優待もあります。
さらに、株主総会における議決権など、経営に関与できる立場を持つ点も特徴です。
一方で、株式には元本保証がなく、企業業績や経済情勢によって株価は大きく変動します。
時には大きな利益が得られる一方で、大きな損失を被るリスクも伴います。
株式は「攻めの資産」として位置づけられ、長期的な資産形成やリターンを追求する上でポートフォリオの中心となる金融商品です。
債券と株の違いとは?

リスクとリターンのバランスはどう違うのか?
債券と株のリスクとリターンは、実際の運用成績で数字となって現れてきます。
債券は、あらかじめ利率や返済スケジュールが決まっており、元本も原則返ってくるため、リスクは低いものの、その分リターンも限定的です。
国債など信用度の高い発行体の債券は、安全性が重視される資産として広く活用されています。
一方、株式は、企業の成長に比例して大きなリターンを期待できる反面、業績悪化や景気後退などで株価が急落するリスクも抱えています。
つまり、債券は「ローリスク・ローリターン」、株式は「ミドルリスク・ミドルリターン」や「ハイリスク・ハイリターン」です。
投資家は、自身のリスク許容度や目的に応じて、債券と株をポートフォリオにどう組み合わせるかを考えることが重要です。
債券と株を組み合わせると何が変わるのか?

分散投資としての役割はあるのか?
債券と株は、値動きの性質が大きく異なる金融商品です。
株式は、景気拡大局面で大きく上昇する可能性がある一方、景気後退局面では急落するリスクを伴います。
逆に債券は、利息収入が安定的に得られ、価格変動も比較的小さいため、株価の上下動を和らげるクッションの役割を果たします。
つまり、両者を組み合わせて保有することで、ポートフォリオ全体の値動きが安定しやすくなると期待できます。
特に、長期運用では、株だけにポートフォリオを偏らせるよりも、債券を一定割合組み込むことでリスクを軽減可能です。
なお、新NISAやiDeCoで運用する場合には、純粋に債券だけで構成されている商品は少ないため、ポートフォリオに債券を含む「バランス型投信」を選択することになります。
実際の商品で成績を比較してみよう
では実際に、新NISAのつみたて投資枠で人気の高い商品を例に、株式型とバランス型を比較してみましょう。
株式100%の商品として人気なのが”オルカン”こと全世界株式型投信の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」です。
一方、株式だけでなく債券やREITも含めて分散投資するバランス型投信には「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」があります。
こちらの商品は、株式比率37.5%(日本株12.5%、先進国株12.5%、新興国株12.5%)、債券比率37.5%(日本国債12.5%、先進国国債12.5%、新興国国債12.5%)、REIT比率25%(国内REIT12.5%、海外REIT12.5%)と、8資産に均等に配分されたバランス型投信となっています。
直近5年間の成績(2025年8月末時点)を比較してみると、次の通りです。
| 商品名 | 種類 | ポートフォリオ | 直近5年間リターン |
|---|---|---|---|
| eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 全世界株投信 | 株式100% | +146.92% |
| eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) | バランス型投信 | 株式37.5%、債券37.5%、REIT25% | +62.52% |
直近5年間の成績を比較すると、オルカンのリターンは+146.92%、一方で8資産バランス型は+62.52%となっています。
単純に成績だけで見ると、株式100%で構成されているオルカンの方が良いものの、相場が大きく下げた2024年8月や2025年4月のような局面においては大きく下落していました。
リスクを抑えたい場合には、債券をポートフォリオに含んだバランス型投信を検討してみる価値は十分にあるでしょう。
債券と株の注意点

初心者が気をつけるべきことは?
債券は一般的に「安全資産」といわれますが、必ずしも元本が保証されているわけではありません。
特に途中売却する場合には、金利変動の影響で債券価格が下落していると、結果的に元本割れするリスクもあります。
個人向け国債の中途換金時の計算式は、次のようになっており、差し引かれる「中途換金調整額」は直近2回分の利子を基に計算されます。
● 個人向け国債の換金額=額面金額+経過利子相当額-中途換金調整額
また、発行体の信用力が低い債券では、デフォルト(債務不履行)の可能性もゼロではありません。
一方、株式投資は短期的な値動きが激しく、数日や数か月で大きく下がることもあります。短期で一喜一憂して売買を繰り返すと、かえって損失が膨らむことも少なくありません。
株のデイトレードやスイングトレードといった短期売買で利益を出すには、初心者が考えるよりも多くの知識や経験が必要であるということが現実です。
初心者にとって大切なのは「債券=絶対安全ではない」ことを理解すること、また「株=短期ではなく長期で見るべき」ことを意識して、落ち着いた投資判断を心がけることにあります。
新NISAやiDeCoで債券はもったいない場合も
新NISAやiDeCoは、運用益が非課税になる、資産運用において強力な制度です。
しかし、債券は株式と比べてリターンが小さいため、非課税メリットを活かすには効率が悪いと言わざるを得ません。
たとえば、年利1〜2%程度の債券を非課税で運用しても、得られる利益の絶対額は小さく、節税効果も限定的です。
逆に、株式のように年5〜7%以上を狙える商品なら、非課税の恩恵を大きく享受できます。
リスク許容度の高い20代や30代は、新NISAやiDeCoでは株式比率を高めに設定する方が合理的といえるでしょう。
債券を含むバランス型投信は、40代以降や退職間近の人にとっては選択肢になってきます。
新NISAの成長投資枠では、債券ETFで純粋な債券に投資することもでき、iDeCoでは元本保証型商品に投資することもできます。
しかし、「非課税枠=期待リターンが大きい資産に使うべき」ということが基本であり、債券に使ってしまうのはもったいないと言わざるを得ません。
例えば、100万円分の債券で1%の利益を得たとしても1万円となり、そこから源泉徴収される税金は20.315%となるため2,031円です。
新NISAやiDeCoでこの程度の額を節税するなら、株で運用して夢を追ってワクワクした方がよいのではないでしょうか?
まとめ
新NISAやiDeCoで債券をポートフォリオに組み込む場合には、債券を含むバランス型投信を組み入れることになります。
債券は「ローリスク・ローリターン」で、株に比べて暴落局面で下がりにくいものの、リターンが小さいため新NISAやiDeCoの非課税枠を活用しきれない点がデメリットです。
リスクを取りやすい20代や30代はなるべく株式中心で運用し、40代以降の方はバランス型投信を検討してみるとよいでしょう。
Q&A
Q1 債券と株の違いとは?
A1 債券はローリスク・ローリターンの「守りの資産」、株は債券よりリスク・リターンともに大きい「攻めの資産」です。資産を築く中心となるのは株であり、債券で資産を築くのは難しいと言わざるを得ません。
Q2 債券に分散投資する意味は?
A2 株だけで運用する場合に比べると、ポートフォリオのリスクを小さくできます。具体的には、トランプ関税ショックで相場が急落した2025年4月のような局面において、債券は下がりにくい傾向があります。
Q3 新NISAやiDeCoで債券をポートフォリオに入れるべき?
A3 債券はリターンが小さく、非課税枠を活用しきれないため、20代や30代にはあまりおすすめできません。40代以降の方は、債券が含まれる「バランス型投信」を検討してみるのも悪くありません。









