更新日:2025.12.23

エンジェル税制とは?どんなリスクがある?

エンジェル税制とは?どんなリスクがある?

エンジェル税制について興味があるものの、「そもそもエンジェル税制とは?」「スタートアップ投資にはどんなリスクがあるの?」など、疑問に思っていませんか。

エンジェル税制は、スタートアップ投資で個人投資家が利用できる税制優遇制度です。

エンジェル税制の節税効果は大きい一方で、スタートアップ投資そのものがハイリスク投資である点には注意が必要です。

本記事では、エンジェル税制の概要、3つの優遇制度(優遇措置A、優遇措置B、プレシード・シード特例)の違い、スタートアップ投資のリスクについて解説しています。

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エンジェル税制が注目される背景とは

エンジェル税制とは?

エンジェル税制とは、政府がスタートアップ企業への投資を促進するために設けた税優遇制度で、経済産業省が管轄しています。

未上場のベンチャー企業に資金を提供した個人投資家が、一定の条件を満たすことで、所得控除や将来の売却益に関する税負担の軽減を受けられる仕組みです。

対象となる企業は、「成長可能性が高い」「創業間もない」など、国が定める基準をクリアしたスタートアップ企業であり、その審査を通過して初めてエンジェル税制の対象となります。

エンジェル税制は、「優遇措置A」「優遇措置B」「プレシード・シード特例」の3つに分かれています。

優遇措置Aでは、投資額を所得控除として扱うことができ、課税所得を大幅に圧縮可能です。

優遇措置Bでは、他の株式譲渡益と損益通算することができ、その年の株式譲渡に係る税金を大きく減らせます。

プレシード・シード特例では、優遇措置Bと同様に他の株式譲渡益と損益通算できるとともに、売却時にも控除分が免除されます。

エンジェル税制について、より詳しくは、経済産業省「エンジェル税制」を確認するようにしてください。

なぜ個人投資家にとって魅力的な制度なのか?

エンジェル税制が個人投資家から注目される最大の理由は、スタートアップ投資のリスクを税制面で軽減できる点にあります。

未上場企業への出資は、値動きが読みにくく、最悪の場合は投資額がゼロになる可能性もあるハイリスク投資です。

エンジェル税制を利用すれば、投資額を他の所得や株式利益から差し引けるため、実質的な投資負担を抑えられます。

仮に企業が成長せず損失が出た場合には、他の株式譲渡益と損益通算でき、3年間の繰越控除ができるため、負担額が軽減されます。

プレシード・シード特例では、企業が成長して株式価値が上昇し、将来的に売却益が発生した場合にも優遇が適用されるため、成功時のリターンが高まりやすい設計です。

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エンジェル税制の仕組みと3つの適用パターン

投資時点で適用される「優遇措置A」とは?

優遇措置Aは、未上場のスタートアップ企業へ投資した際、投資額を所得から差し引いて課税所得を小さくすることで節税効果を得られる仕組みです。

具体的には、投資額から「最大800万円」もしくは「総所得金額の40%」までを、その年の総所得から差し引くことができ、課税所得を大幅に圧縮できます。

また、株式売却時に損失が出ていた場合には、その年の株式譲渡益と「損益通算」でき、翌年以降3年にわたり「繰越控除」が可能で、破産もしくは解散した場合にも適用可能です。

株式売却で利益が出た場合には、投資時の控除額分だけ株式の取得価額を減額して計算します(課税繰延)。

対象となるのは、経済産業省が定める一定条件を満たした「認定スタートアップ」への出資であり、事前に確認書を取得するなど、一定の手続きが必要です。

所得税が大きくなりやすい高所得者層にとっては税負担軽減効果が大きく、資産形成と社会的意義の両立が可能な制度として注目されています。

株式譲渡益から控除できる「優遇措置B」とは?

優遇措置Bは、未上場のスタートアップ企業へ投資した際、投資額をその年の他の株式譲渡益と損益通算できる制度です。

具体的には、投資額から「その年の他の株式譲渡益」から差し引くことができ、上限額はありません。

株式売却時に損失となった場合には、その年の株式譲渡益と「損益通算」でき、翌年以降3年に渡り「繰越控除」が可能で、破産もしくは解散した場合にも適用可能な点は、優遇措置Aと同様です。

株式売却時に利益となった場合には、投資時の控除額分だけ株式の取得価額を減額して計算する「課税繰延」となる点も同様です。

株式譲渡益は20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)の申告分離課税であり、その年の株式譲渡益による税金が大きい場合には、こちらの方が有効となります。

創業間もないスタートアップ投資に適用できる「プレシード・シード特例」とは?

エンジェル税制では、創業間もないベンチャー企業に投資する際に適用される「プレシード・シード特例」という制度があります。

プレシード・シード特例では、優遇措置Bと同様に、投資額を「その年の他の株式譲渡益」から差し引けますが、上限額は年間20億円までとなっています。

ただ、優遇措置Bでは売却時に利益が出た場合には「課税繰延」となり投資時の減額分が実質的に課税されますが、プレシード・シード特例では「免除」となり優遇される点が大きなメリットです。

なお、株式売却時に損失となった場合には、その年の株式譲渡益と「損益通算」でき、3年間にわたって「繰越控除」が可能な点は同様となります。

スタートアップ投資に成功した場合にも、投資時の控除が免除される点で優遇されていますが、上限額が20億円までの点に注意しておきましょう。

エンジェル税制の比較表

エンジェル税制について3つの制度を比較すると、次のようになります。

項目 優遇措置A 優遇措置B プレシード・シード特例
投資時の控除 投資額を総所得から差し引ける(最大800万円or総所得金額の40%まで) 投資額を他の株式譲渡益から差し引ける 投資額を他の株式譲渡益から差し引ける(年間20億円まで)
売却時の控除(損失) 株式譲渡益と損益通算、3年間の繰越控除 株式譲渡益と損益通算、3年間の繰越控除 株式譲渡益と損益通算、3年間の繰越控除
売却時の控除(利益) 投資時の控除額分だけ株式の取得価額を減額して計算(課税繰延) 投資時の控除額分だけ株式の取得価額を減額して計算(課税繰延) 取得価額の調整なし(免除)
向いている人 高所得者 株式譲渡益が多い投資家 創業間もないベンチャー企業に投資したい投資家

※参考:経済産業省「エンジェル投資に対する措置」

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エンジェル税制を活用するための条件とは

どんな企業が対象となるのか?

エンジェル税制の適用を受けるには、投資対象となる企業が、国の定める厳格な条件を満たしている必要があります。

対象となるのは、設立から5年未満の未上場企業(優遇措置Bにおいては設立10年未満)であり、事業内容や成長性、研究開発状況などが一定の基準をクリアしていることが前提です。

対象企業の条件について、より詳しくは、経済産業省「エンジェル投資に対する措置」を確認するようにしてください。

さらに、企業側は事前に経済産業局などへ必要な書類を提出し、正式に「確認書」の交付を受けていることが必須となります。

投資家としては、企業が適切に申請済みか、最新の確認書が発行されているかを事前に必ず確認するようにしておきましょう。

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エンジェル税制の注意点

注意しておくべきリスクや落とし穴は?

エンジェル税制は、節税効果が大きい一方で、スタートアップ投資ならではの高いリスクを十分に理解しておく必要があります。

未上場企業は事業基盤が脆弱で、倒産リスクや元本割れの可能性が高いため、ハイリスク投資になる点は避けられません。

上場企業への株式投資と、スタートアップ投資などの未上場株投資の違いを確認しておきましょう。

比較項目 通常の株式投資(上場株) スタートアップ投資(未上場株)
流動性 高い(証券取引所でいつでも売買可能) 低い(売却先が限られる)
リスク 中程度 非常に高い
リターンの可能性 年率数%〜20%程度が一般的 非常に高い可能性もあるがゼロになる可能性も大きい
情報の透明性 高い(決算開示やIR情報が整備) 低い(非公開情報が多い)
投資金額 少額から購入可能 最低投資額が高い場合が多い
節税メリット 新NISAなどに限られる エンジェル税制
時間軸 数日〜数年で売買しやすい 数年〜長期でエグジット(IPOやMBO)待ち

また、エンジェル税制を利用するには多くの書類や手続きが必要であり、書類不備や期限遅れにより税制適用が認められないケースも発生します。

加えて、税制は将来的に変更される可能性があり、優遇内容が縮小されるリスクも考慮すべきです。

投資家は節税ありきで判断するのではなく、スタートアップ企業の成長性や財務状況、経営者のビジョンなどを慎重にチェックすることが不可欠です。

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まとめ

エンジェル税制では、3つの制度(優遇措置A、優遇措置B、プレシード・シード特例)からなるスタートアップ投資優遇制度です。

優遇措置Aでは投資額を所得から差し引くことができ、優遇措置Bとプレシード・シード特例では投資額を他の株式投資の利益から差し引けます。

ただ、スタートアップ投資そのものが大きなリスクを抱えているため、安易に考えなしに手を出してよい制度ではない点には注意しておきましょう。

Q&A

Q1 エンジェル税制とは?
A1 スタートアップ企業への投資を促進するために設けられた税優遇制度です。「優遇措置A」「優遇措置B」「プレシード・シード特例」の3つがあります。

Q2 エンジェル税制の違いとは?
A2 優遇措置Aでは投資額を所得総額から差し引け、優遇措置Bでは投資額を株式譲渡益から差し引けます。プレシード・シード特例では投資額を株式譲渡益から差し引くことができ、売却時にも免除されます。

Q3 エンジェル税制のリスクとは?
A3 スタートアップ投資そのものがハイリスク投資であり、元本がゼロになるリスクも小さくありません。

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