更新日:2026.3.27
傷病手当金はいくらもらえる?受給の条件は?
傷病手当金について気になっていて、「傷病手当金はいくらもらえる?」「傷病手当金の受給の条件とは?」など疑問に思っていませんか。
傷病手当金は、会社員や公務員が病気やケガで働けなくなったときに、収入の一部が補填される制度です。
傷病手当金の受給においては、「待機期間」という考えが必要となり、連続する3日間を含み4日以上仕事を休んでいることが条件となります。
本記事では、傷病手当金の受給条件、傷病手当金の支給額、傷病手当金の申請方法などについて解説しています。
Contents
傷病手当金とは?

病気やケガで働けないときの生活保障制度
傷病手当金とは、会社員や公務員などが加入している健康保険から支給される給付制度です。
業務外の病気やケガの療養のために仕事を休み、会社から十分な給与が支払われないときに、一定期間、収入の一部が補填されます。
突然の入院や長期療養が必要になった場合でも、すぐに収入がゼロにならないように設けられた公的なセーフティーネットという位置付けです。
条件を満たせば、最長で、支給を始めた日から通算1年6ヶ月まで受給できる仕組みとなっています。
なお、自営業者が加入する国民健康保険には、この制度はありません。
傷病手当金についてより詳しくは、「協会けんぽ」のホームページなどを参照するようにしてみてください。
傷病手当金がもらえる要件
傷病手当金を受け取るには、次の4つの条件を満たす必要があります。
1. 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
2. 仕事に就くことができない状態であること
3. 連続する3日間を含み4日以上仕事を休んでいること
4. 休業期間中に給与の支払いがないこと
特に、3.について、最初の3日間は「待期期間」と呼ばれ、この期間は支給対象になりません。
なお、「待機期間」の日数には、有給休暇や公休などが含まれ、報酬の支払いの有無は関係ありません。
「待機期間」について、次の3つのケースで考えてみましょう。
● 休出休休出出休休出休:連続3日間で休んだ日がないため成立しない
● 休休休出休休休休休休:最初の3日間が待機完成となり、5日目以降の休んだ期間が支給される
● 休休出休休休休休休休:4日目~6日目の3日間が待機完成となり、7日目以降の休んだ期間が支給される
待機期間は、会社を休んだ日が連続して3日間なければ成立しません。
例えば、連続2日間会社を休んだ後に3日目に出勤した場合には、待機期間は成立しないため注意が必要です。
傷病手当金がもらえる要件
傷病手当金と混同されやすい制度には、「労災保険」や「雇用保険」がありますが、それぞれ目的や支給要件が大きく異なります。
傷病手当金は、業務外の病気やケガで働けないときに健康保険から支給される制度です。
労災保険は、仕事中や通勤中の事故·病気が対象となり、原則として自己負担なく補償が受けられます。
雇用保険(失業給付)は、働ける状態にあるものの職を失った場合に支給される制度で、病気療養中は原則対象外です。
つまり、「働けない原因」と「働ける状態かどうか」が制度の大きな分かれ目になります。
| 制度 | 対象となる理由 | 働ける状態か | 主な給付内容 |
|---|---|---|---|
| 傷病手当金 | 業務外の病気·ケガ | 働けない | 給与の約2/3を支給 |
| 労災保険 | 業務中·通勤中の病気·ケガ | 働けない | 休業補償給付(給付基礎日額の約8割相当) |
| 雇用保険(失業給付) | 失業 | 働ける | 基本手当(賃金の約5~8割) |
このように、似ているようで制度の目的は明確に異なります。
自分の状況が「業務内か業務外か」「働ける状態かどうか」を整理することが、正しい制度を利用するための第一歩です。
傷病手当金の計算方法

給与の「3分の2」が基本!正確な計算式の仕組み
傷病手当金の支給額は、一般的に「給与の約3分の2」と言われますが、実際はもう少し厳密な計算式で算出されます。
正確には、1日あたりの金額は次の2段階の計算式で計算されます。
1. 「支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均額 ÷ 30日」(※10円未満切り捨て)
2. 「(1で求めた数値)× 2/3」(※1円未満四捨五入)
上記はより詳細な計算式であり、一言で言うと、次の計算式で押さえておいて問題ありません。
● 支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30日 × 2/3
ここでポイントとなるのが、傷病手当金のベースとなるのは、「手取り額」ではなく、「標準報酬月額」が基準になる点です。
標準報酬月額とは、基本給だけでなく各種手当も含めた額面ベースの報酬をもとに決められる等級の金額です。
そのため、実際の手取りよりもやや高めの金額を基準に計算されるケースが多くなります。
ただし、直近12ヶ月の平均で算出されるため、昇給直後などは反映が遅れる点には注意が必要です。
傷病手当金は調整されて支給額が減る場合がある
次の条件に当てはまる場合には、傷病手当金の支給額の一部または全額が調整となります。
● 休んだ期間に給与の支払いがあった場合
休業期間中に会社から給与が支払われた場合は原則不支給となり、給与の日額が傷病手当金より少ないときのみ、差額が支給されます。
● 厚生年金保険の障害厚生年金または障害手当金を受けている場合
同一の疾病または負傷等により障害厚生年金または障害手当金を受けている場合には、傷病手当金は支給されません。
ただ、障害厚生年金と障害基礎年金の合算額の360分の1が傷病手当金の日額より少ない場合には、その差額が支給されます。
● 資格喪失後に老齢退職年金を受給している場合
在職老齢年金と傷病手当金は併給されますが、退職後については老齢年金の額により調整されるため注意が必要です。
● 労災保険から休業補償給付を受けていた(受けている)場合
過去に労災保険から休業補償給付を受けていて、休業補償給付と同一の病気やケガのために労務不能となった場合には、傷病手当金は支給されません。
また、業務外の病気やケガのために労務不能となった場合でも、別の原因で労災保険から休業補償給付を受けている期間中は、傷病手当金は支給されません。
ただ、いずれの場合にも、休業補償給付の日額が傷病手当金の日額より低いときは、その差額が支給されます。
● 出産手当金を同時に受けられるとき
出産手当金を支給する場合、その期間中には傷病手当金は支給されません。
ただ、出産手当金の額が傷病手当金の額より少なくなるときは、その差額が傷病手当金として支給されます。
実際の手取り額と注意点

傷病手当金から引かれるもの・引かれないもの
傷病手当金は非課税所得にあたるため、給与とは異なり、所得税や住民税が天引きされることはありません。
ただし、社会保険料については注意が必要です。
休職中であっても、健康保険料や厚生年金保険料は原則として免除されず、自己負担分を会社へ支払う必要があります。
そのため、支給額がそのまま自由に使えるわけではありません。
特に長期療養の場合、毎月の保険料負担が家計を圧迫することもあります。
実際の手取り額を把握する際は、「非課税=全額使える」ではない点を理解しておくことが重要です。
| 引かれるもの | 引かれないもの | |
|---|---|---|
| 傷病手当金 | 健康保険料、厚生年金保険料 | 所得税、住民税 |
いいつ振り込まれる?支給期間とスケジュール

初回振込までの期間と「無給期間」への備え
傷病手当金は、申請してすぐ振り込まれるわけではありません。
申請から支給決定·振込までに2週間〜1ヶ月程度かかるケースが一般的です。
さらに、最初の3日間は待期期間となり支給対象外のため、その間は無給となるケースが多くなります。
また、給与のように毎月自動的に振り込まれる仕組みではなく、原則として申請ごとに審査·支給が行われます。
そのため、休職直後は収入が途絶える期間が発生する可能性がある点に注意しておきましょう。
急な療養に備え、生活費の数ヶ月分を生活防衛資金として確保しておくことが、安心して治療に専念するための重要なポイントです。
ミスなく受給するための申請手続きと流れ

申請書の書き方と医師・会社への依頼フロー
傷病手当金を受給するには、所定の申請書を健康保険へ提出する必要があります。
申請書には「医師の意見書(労務不能の証明)」と「事業主の証明」の2つが必須であり、本人記入欄と合わせて4枚構成になっているのが一般的です。
まずは自分で必要事項を記入し、医療機関で医師に証明を依頼、その後、会社に給与支払い状況などの証明を記載してもらいます。
申請は1ヶ月ごとに区切って行うのが基本で、給与の締め日に合わせると手続きがスムーズです。
なお、過去分をさかのぼって申請することも可能ですが、早めの手続きが受給遅れを防ぐポイントになります。
まとめ
傷病手当金は、会社員や公務員が病気やケガで働けなくなったときに、収入の一部が補填される制度です。
傷病手当金の受給条件としては、連続する3日間を含み4日以上仕事を休んでいることがポイントとなります。
傷病手当金の支給額は、給与の「約3分の2」が基本となりますが、場合によっては調整となることがある点には注意しておきましょう。
Q&A
Q1 傷病手当金はいくらもらえる?
A1 傷病手当金の支給額は「支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30日 × 2/3」で計算されます。なお、休んだ期間に給与の支払いがあった場合や出産手当金を同時に受け取っている場合などには調整となります。
Q2 傷病手当金の受給条件は?
A2 傷病手当金の受給条件は、次の4点です。(1)業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること。(2)仕事に就くことができない状態であること。(3)連続する3日間を含み4日以上仕事を休んでいること。(4)休業期間中に給与の支払いがないこと。
Q3 傷病手当金の注意点とは?
A3 休職中であっても、健康保険料と厚生年金保険料は原則として免除されないため、自己負担分を会社へ支払う必要がある点には注意しておきましょう。




