更新日:2025.5.16
変額保険とは?やめたほうがいいと言われる理由は?
変額保険を検討しているものの、「変額保険の特徴は?」「定期保険や新NISAとどっちが得なの?」など、お困りの方もいるのではないでしょうか。
変額保険は、保険による保障をしながら資産運用も同時にできる保険です。
ただ、変額保険は手数料が高い側面もあるため、掛け捨て型で安い定期保険や収入保障保険で保障した上で、新NISAやiDeCoで運用する方が合理的なケースも少なくありません。
本記事では、変額保険の基本や仕組み、変額保険のメリット・デメリット、実際の運用成績や手数料に基づく新NISAとの比較について解説しています。
Contents
変額保険の基本

変額保険とはどんな保険商品か?
変額保険とは、保険料の一部を投資信託などで運用して、その運用成果に応じて、保険金や解約返戻金が変動する保険です。
変額保険は保険と投資が一体化しているため、通常の定額保険とは異なり、将来の受取金額が確定していない点が特徴です。
将来の保障額が確実でないため、安定を求める人にはやや不向きな一方、投資にも関心があり長期的な運用を求めたい人にとっては選択肢となり得る保険です。
一般的に、死亡保険金額には最低保障金額が設定されており、運用実績に関わらず、最低額は保証されています。
一方、解約返戻金や有期型の満期保険金には保障がないため、運用実績によっては減額となり、元本割れするリスクがあります。
変額保険の契約者は、複数の運用先から投資対象を選び、自身のリスク許容度に応じた運用が可能です。
なお、変額保険は予定利率が高めのため、保険料は一般的な保険よりも割安となるケースが多い傾向があります。
変額保険を大別すると、有期型・終身型・変額個人年金保険の3種類があります。
| 種類 | 保障期間 | 満期保険金 | 解約返戻金 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 有期型 | 一定期間(10年など) | 満期時に支払い | 満期前の解約でも一定額あり | 保険期間終了時に保険金を受け取れるタイプ。満期があるため資金計画を立てやすい。 |
| 終身型 | 一生涯 | 死亡時に支払い | 長期保有で返戻率上昇 | 死亡保障を一生涯確保しつつ、長期運用による資産形成を狙う。老後資金としても活用可。 |
| 変額個人年金保険 | 一定期間(年金受取開始まで) | 年金として分割受取 | 途中解約で元本割れの可能性 | 投資性のある年金保険。将来の年金受取額が運用成績に応じて変動。老後資金向け。 |
変額保険は何が特徴的なのか?
変額保険の最大の特徴は、保障額が運用実績によって変動する点にあります。
一般的な定額保険では、将来の死亡保険金や満期返戻金があらかじめ確定していますが、変額保険ではあくまで死亡保険金額の最低保障があるのみで、増減部分は運用次第です。
変額保険として支払った保険料は、「保障部分」と「積立・運用部分」に分かれており、運用部分は株式や債券を組み合わせたファンドで資産運用が行われます。
長期的にはインフレ対策や資産形成が期待できる一方、短期的な市況悪化により元本割れとなるリスクもあります。
また、変額保険は保険であるため、早期解約時には、元本割れのリスクが高くなる点には注意しておきましょう。
変額保険は、「保険による保障」と「投資による資産運用」を兼ね備えたハイブリッド型の保険である点を認識しておいてください。
変額保険と定額保険の違い
変額保険と定額保険の違いは、次のようになります。
| 比較項目 | 変額保険 | 定額保険 |
|---|---|---|
| 保険金額・返戻金の変動 | 運用実績により変動 | 契約時に確定 |
| 運用リスクの有無 | あり(契約者が負担) | なし(保険会社が責任を負う) |
| 最低保障の有無 | 死亡保険金に最低保証あり | 一定額を保障 |
| 投資性 | 高い(投資信託で運用) | 非常に低い(安全資産で運用) |
| インフレへの対応 | 対応可能(資産価値が上がれば恩恵) | 対応しにくい(価値が目減りする可能性) |
| リターンの上限 | 理論上は上限なし | 上限あり(予定利率で固定) |
| 損失リスク | あり | 基本的になし(元本確保型) |
| 向いている人 | 保険による保障と同時に投資運用にしたい人 | リスクを避けたい安全志向の人 |
変額保険のメリットとデメリット

変額保険のデメリットとして認識すべき重要な点は?
変額保険は資産を増やせる可能性がある一方で、元本割れのリスクがつきまといます。
世界株安などで市場が下落すれば、解約返戻金が減少するリスクがある点に注意が必要です。
また、初期費用や保険会社に支払う信託報酬といった見えにくいコストも多く、長期的には大きな差となります。
変額保険は、通常の保険と同様に長期で運用する設計となっているため、早期解約してしまうと元本割れする可能性が高くなります。
変額保険は、「保険+資産運用」という構造になった商品である点を認識しておいてください。
単に資産運用をしたい場合には、新NISAでインデックス投信に投資した方が、手数料は安く、自分で投資したい商品に投資可能です。
保険による保障を受けたい場合であっても、掛け捨て型で安い定期保険や収入保障保険で保障した上で、新NISAやiDeCoで運用する方が合理的なケースが少なくありません。
なぜ「変額保険はやめたほうがいい」という意見が多いのか?
「変額保険はやめたほうがいい」という意見も少なくありませんが、その理由の一つとして、高めの手数料が挙げられます。
変額保険は「保険+資産運用」という構造になった保険のため、保険に掛かる「保険関係費用」と、資産運用に掛かる「運用関係費用」という2種類の手数料が発生します。
契約時の初期費用に加えて、これらの手数料が保険料から引かれるため、純粋に運用される資金が目減りする構造になっています。
これにより、運用成績が良くても「思ったよりも資産が増えなかった」と感じる契約者も少なくありません。
変額保険は、自分で保険を選べて、自分で資産運用もできる人にとっては不向きです。
わざわざ変額保険で投資をするなら、新NISAやiDeCoを活用して低コストの投資信託で運用した方が合理的であり、保険と投資を一体化するよりも、それぞれを分けて契約した方が効率的である点は否定できません。
変額保険の適性と選択肢
変額保険が向いている人はどのような特徴を持つのか?
変額保険は、すべての人に適している保険とは言い難い保険商品です。
変額保険に向いている人には、次のような3つの共通点があります。
1. 長期間にわたって保有できる人
2. 投資リスクを一定程度許容できる人
3. 保険と資産運用をひとまとめに管理したい人
変額保険は、短期間で解約すると元本割れしやすいため、10年以上の長期運用が前提となります。
変額保険は、市場の変動によってリターンが上下するため、元本保証を求める人には不向きです。
変額保険は、保険による保障に加えて、子どもの教育費や老後資金の形成などを一つの商品で同時に対応したいニーズを持つ人にとっては選択肢の一つとなります。
例えば、老後資金を作りながら死亡保障も確保したい30代後半の共働き世帯などは、変額保険を資産運用の一部として組み入れることを検討してみてもよいでしょう。
新NISAと変額保険はどちらを選ぶべきか?
資産形成の手段として、新NISAと変額保険のどちらを選ぶべきかは、自身の金融リテラシーやライフプランに合わせて選択するようにしましょう。
変額保険と新NISAについて、「非課税効果」「手数料」「リターン」の3点で比較してみると、次のようになります。
| 比較項目 | 変額保険 | 新NISA |
|---|---|---|
| 非課税効果 | 運用益は一時所得、掛け金は生命保険料控除になる | 運用益は非課税 |
| 手数料 | 保険関連費用、運用関連費用(高め) | 運用関連費用のみ(非常に安い) |
| リターン | ベンチマークより良い成績とは限らない | インデックス投信ならベンチマークに近い運用が可能 |
資産運用の観点で合理的に見ると、変額保険は新NISAに対して、ほぼ全ての面で負けていると言わざるを得ません。
変額保険は、保険と資産運用が一体となった商品という点で価値があり、単に資産運用をしたい場合には、新NISAの方がおすすめです。
それでは、新NISAと変額保険の比較についてより詳しく見ていきましょう。
非課税効果
新NISAでは運用益がすべて非課税になる一方、変額保険は解約時や満期時に一時所得扱いで課税されるため、節税効果では新NISAの方が有利です。
ただ、変額保険の支払いについては、有期型と終身型は「一般生命保険料控除」、個人年金型は「個人年金保険料控除」の対象となるため、拠出金の節税という観点では変額保険の方が有利と言えます。
手数料M
変額保険の手数料は、保険関連費用(初期費や運用管理費、死亡保障料など)に加えて、運用関連費用も高額になりがちです。
一方、新NISAは、口座手数料は0円で開設・口座維持でき、手数料(信託報酬)の低いインデックスファンドを選べば、運用関連費用は極限まで抑えられます。
運用に掛かる運用関連費用について、実際の例で見てみましょう。
新NISAのつみたて投資枠でも投資できる、オルカンこと全世界株式型のインデックスファンド「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬は0.05775%です。
変額保険の例として、ソニー生命の変額保険で運用できる「世界株式型」の「グローバル・クオリティ・ファンドSL」の運用関連費用は0.0133%、信託報酬は0.594%となっています(2025年2月時点)。
※出典:ソニー生命「特別勘定の運用状況」
| 商品(世界株投信) | 運用関連費用 | 信託報酬 | |
|---|---|---|---|
| 変額保険(ソニー生命) | グローバル・クオリティ・ファンドSL | 0.0133% | 0.594% |
| 新NISA | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 0円 | 0.05775% |
変額保険ではわずかながら運用関連費用が発生し、信託報酬は10倍となっています。
リターン
変額保険と新NISAのリターンを比較してみましょう。
ソニー生命の変額保険で投資できる「グローバル・クオリティ・ファンドSL」と、新NISAで投資できる「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が連動する「MSCIワールド・インデックス」のリターンは次の通りです。
| 投資信託(指数) | 1年 | 5年 | 10年 | |
|---|---|---|---|---|
| 変額保険(ソニー生命) | グローバル・クオリティ・ファンドSL | +7.01% | +110.03% | +210.24% |
| 新NISA | MSCIワールド・インデックス | +14.54% | +161.80% | +233.40% |
※出典:ソニー生命「特別勘定の運用状況」
大手のソニー生命の変額保険であっても、ベンチマークを下回る運用状況になっています。
まとめ:変額保険の賢い活用法
変額保険を検討する際に必ず確認すべきポイントは?
変額保険の契約前には、次の5点を確認しておくようにしましょう。
1. 運用リスク(保険部分の元本保証など)
2. 手数料体系(初期費用や保険関係費用、運用管理費など)
3. 保険部分と積立部分の内訳(毎月の保険料がどれだけ保障に回り、どれだけ運用されているのか)
4. 解約時のリスク(解約年数による元本割れの度合い)
5. 運用商品の内容(運用商品の信託報酬などの手数料や運用実績など)
変額保険は、保険と資産運用が一体となった商品という点で価値があります。
自分の手で保険選びや資産運用ができる場合には、掛け捨て型で安い定期保険や収入保障保険で保障した上で、新NISAやiDeCoで運用する方が合理的なケースが少なくありません。








