更新日:2025.8.7
加給年金とは?いつからいくら貰える?
加給年金について気になっているものの、「そもそも加給年金って?」「加給年金はいつからいくら貰えるの?」など、疑問に思っている方も少なくないのではないでしょうか。
加給年金は、老齢厚生年金を受給する際に、65歳未満の配偶者や子どもがいる場合に、上乗せして支給される年金です。
ただ、加給年金は、配偶者が65歳以上になったら支給されなくなり、繰下げ受給時には繰下げ期間に支給されないなど、支給停止条件が厳格な点には注意しておきましょう。
本記事では、加給年金の制度、加給年金の支給条件や支給タイミング、加給年金の支給停止条件などについて解説しています。
Contents
加給年金はどんな制度なのかを知っておこう

加給年金は誰がもらえるのか?
加給年金は、老齢厚生年金を受け取る人に一定の家族構成がある場合、年金額に上乗せされて支給される制度です。
基本となる受給条件は、厚生年金保険に通算20年以上(240か月以上)加入していた人が対象となります。
そのうえで、65歳で老齢厚生年金を受給する時点で、65歳未満の配偶者(事実婚も含まれます)や一定の条件を満たす子どもがいる必要があります。
子どもが対象になるのは、以下のいずれかに該当する場合です。
● 18歳の誕生日を迎える年度の末日までの子(高校生以下)
● 障害等級1級または2級の状態で20歳未満
● 未婚であること
いくらもらえるのか、金額の目安と計算方法

加給年金の支給額はいくらくらいになるのか?
加給年金の金額は毎年改定されており、令和7年4月時点では、次のようになっています。
| 対象者 | 加給年金額 |
|---|---|
| 配偶者 | 239,300円 |
| 1人目~2人目の子ども | 各239,300円 |
| 3人目以降の子ども | 各79,800円 |
例えば、配偶者がいて、子どもが3人いる場合には、加給年金の基本支給額は次のようになります(以下の額に下記の特別加算額が追加されます)。なお、所得制限はありません。
● 加給年金額=239,300円(配偶者)+239,300円(子ども1人目)+239,300円(子ども2人目)+79,800円(子ども3人目)=797,700円
ただ、65歳時点で18歳未満の子どもがいるケースは稀なため、実際の支給においては「65歳未満の配偶者がいるか」が判断の中心になります。
さらに、昭和9年(1934年)4月2日以降に生まれた人には、加給年金額に「特別加算額」が上乗せされます。
| 受給権者の生年月日 | 特別加算額 | 加給年金額の合計額 |
|---|---|---|
| 昭和9年4月2日から昭和15年4月1日 | 35,400円 | 274,700円 |
| 昭和15年4月2日から昭和16年4月1日 | 70,600円 | 309,900円 |
| 昭和16年4月2日から昭和17年4月1日 | 106,000円 | 345,300円 |
| 昭和17年4月2日から昭和18年4月1日 | 141,200円 | 380,500円 |
| 昭和18年4月2日以後 | 176,600円 | 415,900円 |
現在では、該当者の多くが昭和18年(1942年)4月2日以降の生まれであるため、配偶者に対して支給される加給年金額239,300円に加えて、特別加算176,600円が加わり、合計415,900円となるケースが一般的です。
支給されるタイミングの基本

加給年金はいつから受け取れるのか?
加給年金の支給は、基本的には老齢厚生年金の受給が始まるタイミングに連動してスタートします。
ただし、以下のようなケースでは支給対象外となるため、事前に確認が必要です。
● 配偶者がすでに65歳以上である場合
● 子どもが18歳を過ぎている(障害のある子の場合は20歳未満までが対象)
また、繰下げ受給を選択した場合には、老齢厚生年金の開始時期が遅れるため、加給年金の支給開始も後ろ倒しになる点に注意が必要です。
自分が加給年金の対象となるかどうかについては、「年金定期便」の情報を確認するか、または最寄りの年金事務所で照会できます。
支給のタイミングを逃すと、制度上受け取れなくなることもあるため、早めの確認を心がけましょう。
加給年金と繰上げ受給・繰下げ受給について
加給年金に関するFPへの相談内容の多くは、繰下げ受給との兼ね合いに関するものです。
加給年金の支給要件や金額は制度上で自動的に判定されるため、受給者が個別に対応すべき部分はあまり多くありません。通常は、年金定期便などで支給開始の見込み時期を確認する程度です。
老齢年金を繰下げて受け取る場合、支給時期が変わってくる点に注意が必要です。
老齢基礎年金および老齢厚生年金は、原則として65歳から支給されますが、60歳からの繰上げや、65歳以降の繰下げという選択肢もあります。
繰上げの場合は、1か月早めるごとに年金額が0.4%減額され(※1962年4月1日以前生まれの人は0.5%)、逆に繰下げ受給では1か月ごとに0.7%ずつ増額されていきます。最大で75歳まで繰下げた場合、受給額は元の84%増しになります。
繰上げ受給については、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に申請する必要がありますが、繰下げの場合は、それぞれを別々に申請できるのが特徴です。
なお、加給年金は原則として65歳から支給されるため、繰上げ受給を選んだとしても、加給分が前倒しで支給されるわけではありません。つまり、繰上げた年金には加給年金は上乗せされず、65歳から加算されます。
一方、繰下げ受給には、次の2つの重要なポイントがあります。
● 加給年金の支給条件を満たしていても、繰下げ受給の老齢厚生年金の支給開始まで支給されない。
● 繰下げ受給によって年金本体は増額されても、加給年金自体は増額されない。
たとえば、老齢厚生年金を70歳まで繰下げた場合、年金本体の支給額は42%増えますが、加給年金はその期間中は支給されず、かつ増額の対象にもなりません。
加えて、繰下げによって年金の支給時期が後ろにずれることで、配偶者や子どもの年齢も上がり、支給条件を外れてしまう可能性が高まります。
一般的には、資産や退職後の収入に余裕がある方には、65歳以降の繰下げ受給は有効な選択肢です。ただし、加給年金との関係を見極めたうえで判断することが重要です。
たとえば、加給年金の受給資格がある場合には、老齢厚生年金は65歳から受け取り、老齢基礎年金だけを繰下げるという方法も選択肢に入ってきます。
加給年金と繰下げ受給の関係について、より詳しくはFPに相談するようにしてください。
加給年金が打ち切られるパターンに注意

支給停止や終了になるケースには何があるのか?
加給年金は、生涯にわたって支給される制度ではなく、特定の条件に該当すると支給が止まります。
加給年金の支給停止の条件は以下の通りです。
● 配偶者が65歳を迎えたとき、または子どもが18歳を超えたとき
● 配偶者が、厚生年金の被保険者期間が20年以上あり、老齢厚生年金(特別支給分も含む)を受け取るようになった場合
● 配偶者が障害厚生年金または障害基礎年金の支給対象となった場合
● 配偶者が、20年以上組合員として加入していた退職共済年金の支給を受け始めた場合
これらの中でも特に多く見られるのが「配偶者が65歳になったとき」です。
このタイミングで配偶者が老齢基礎年金の受給権を得ていると、加給年金の支給は終了します。その代わり、一定の条件に該当すれば「振替加算」が老齢基礎年金に上乗せされる仕組みがあります。
配偶者が65歳未満であっても、特別支給の老齢厚生年金(加入期間20年以上)を受け取ると、加給年金の支給は打ち切られるので注意が必要です。
たとえば、昭和39年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれた女性は、64歳から特別支給の老齢厚生年金を受け取れるケースがあります。このとき厚生年金加入期間が20年以上であれば、加給年金の資格は失われます。
特別支給の老齢厚生年金について、支給開始年齢は次の通りです。
| 支給開始年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 64歳 | 1959年4月2日~1961年4月1日生まれ | 1964年4月2日~1966年4月1日生まれ |
| 63歳 | 1957年4月2日~1959年4月1日生まれ | 1962年4月2日~1964年4月1日生まれ |
| 62歳 | 1955年4月2日~1957年4月1日生まれ | 1960年4月2日~1962年4月1日生まれ |
| 61歳 | 1953年4月2日~1955年4月1日生まれ | 1958年4月2日~1960年4月1日生まれ |
| 60歳 | 1953年4月1日以前生まれ | 1958年4月1日以前生まれ |
令和4年(2022年)4月以降の制度変更により、配偶者が実際に老齢厚生年金や退職共済年金を受け取っていなくても、「受給権がある」と判断されれば(たとえば在職中で年金が停止されている場合などでも)、加給年金の支給は停止される仕組みになっています。
加給年金が支給されなくなる条件の詳細については、「ねんきんダイヤル」や最寄りの年金事務所で確認することをおすすめします。
加給年金を確実にもらうためのポイント

制度を知らずに申請しないとどうなるのか?
加給年金は、老齢厚生年金の受給開始時に自動的に支給されることもありますが、配偶者や子どもの情報が年金機構に登録されていない場合には申請が必要です。
申請をし忘れると、本来もらえるはずの加給年金が受け取れないままになるケースもあります。
また、加給年金は基本的にさかのぼって支給されないため、申請が遅れるとその分は一生受け取れません。
加給年金を確実に受け取るには、年金請求の際に家族構成をしっかり申告し、必要書類を揃えて早めに手続きを進めることが重要です。
まとめ
加給年金は、65歳になって老齢厚生年金を受給する際に、65歳未満の配偶者や子どもがいる場合に、上乗せして支給される年金です。
加給年金は、配偶者が65歳以上になったら支給されず、老齢厚生年金の繰下げ受給時には繰下げ期間には支給されないため、支給停止条件はよく確認しておくようにしましょう。
Q&A
Q1 加給年金はいつから貰える?
A1 65歳になって老齢厚生年金の受給資格を得たとき、65歳未満の配偶者や18歳未満の子どもがいる場合などに、年金に上乗せ支給されます。
Q2 加給年金はいくら貰える?
A2 最も多いのは65歳未満の配偶者がいる場合で、令和7年度では415,900円(加給年金額+特別加算額)となっています。
Q3 加給年金の支給停止条件とは?
A3 配偶者が65歳以上になる、配偶者が被保険者期間20年以上の特別支給の老齢厚生年金を受け取った場合などに支給停止となります。また、老齢厚生年金を繰下げ受給する場合には、受給するまで支給されません。









