更新日:2025.8.13
老後資金はいくら必要?2000万円で足りるのか?
老後資金について、「老後資金はいくら必要?」「老後資金は2000万円で足りるの?」など、疑問に感じている方は少なくないのではないでしょうか。
金融庁の「老後2,000万円問題」は大きな話題となりましたが、実際のデータで見てみると、やや過大な面も少なくありません。
とはいえ、老後資金形成が重要なことには変わりなく、新NISAやiDeCoの活用や節約の習慣、生涯現役を目指すなど、老後に向けて有意義に取り組めることは数多くあります。
本記事では、国のデータを基にした老後に必要な生活費の目安、老後資金を効率的に準備する方法、その他老後資金問題を解決するための方法について解説しています。
Contents
老後に必要な生活費の目安

老後の生活費は月いくらかかるのか?
老後に必要な生活費の目安を知ることは、老後の資金計画を立てるうえで非常に重要です。
総務省の「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の世帯の消費支出は265,898円となっています。
二人以上の世帯のうち65歳以上の無職世帯の消費支出について、世帯主の年齢別、年金収入も合わせて詳しく見ると、次の通りです。
| 65歳以上全体 | 65~69歳 | 70~74歳 | 75歳以上 | |
|---|---|---|---|---|
| 実収入 | 266,329円 | 307,741円 | 275,420円 | 252,506円 |
| 可処分所得 | 233,097円 | 266,336円 | 240,596円 | 221,948円 |
| 消費支出 | 259,295円 | 311,281円 | 269,015円 | 242,840円 |
| 収支 | -26,198円 | -44,945円 | -28,419円 | -20,892円 |
※出典:総務省「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
なお同資料では、65歳以上の単身無職世帯についてみると、実収入は134,116円、可処分
所得は121,469円、消費支出は149,286円、収支は-27,817円となっています。
65歳以上の無職世帯の場合、収入はほぼ年金収入だけとなりますが、そこから税金や社会保険料が引かれるため、全額が自由に使える可処分所得になるわけではありません。
ただ、年齢が上がるにつれて、実収入と消費支出のいずれも減少しており、収支の赤字も小さくなっていることが分かります。
厚生労働省の「生命表」によると、65歳における平均余命は、男性19.97 年、女性24.88年となっています。
仮に65歳時点から月3万円の赤字が30年間続くとした場合には、3万円×30年間×12ヶ月=1,080万円となる計算です。
ゆとりのある生活として月30万円以上を見込む場合であっても、2,000万円までは必要にならない計算になるかと思います。
少なくとも国のデータを見てみる限りでは、老後に必要な資金が2,000万円は過大と言えそうです。
実際にいくら準備すれば安心できるのか

「老後資金2000万円問題」は本当なのか?
2019年に金融庁が発表した「老後資金2,000万円問題」は、多くの人に不安を与えました。
ただ、前述したように、この2,000万円という金額は、あくまで一例に過ぎません。
金融庁の報告書では、夫婦で年金以外に月5.5万円不足するという前提で、30年生きると約2,000万円が不足するという単純な試算に基づいています。
実際に必要な金額は、持ち家の有無、退職金の金額、年金収入、生活スタイル、健康状態などによって大きく異なります。
年金だけで生活が成り立つ家庭もあれば、月10万円以上の不足がある家庭もあります。
つまり、2,000万円という金額に一喜一憂するのではなく、「自分の場合はいくら必要か?」「どのような老後を送りたいか?」といった視点でシミュレーションを行うことが、老後不安を減らす第一歩です。
老後資金を効率的に準備する方法とは

今からできる備え方にはどんな方法があるのか?
老後資金の準備は、早ければ早いほど有利になります。
現役世代ができる備えの一つが、税制優遇のあるiDeCoや新NISAなどを活用して資産形成することです。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は掛金が全額所得控除され、運用益も非課税、受け取り時にも控除がある資産形成制度です。
新NISAは、運用益が非課税のため、長期で資産を増やすことに向いています。
iDeCoと新NISAの違いは次の通りです。
| iDeCo | 新NISA | |
|---|---|---|
| 目的 | 老後資金の形成(年金制度の補完) | 資産形成全般(老後資金含む、目的の制限なし) |
| 税制メリット | 掛金が全額所得控除、運用益非課税、受取時にも控除 | 運用益が恒久非課税 |
| 投資可能額 | 月額20,000~68,000円(職業等により上限あり) | ・年間360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円) ・累計1,800万円 |
| 資金の引き出し | 原則60歳まで引き出し不可 | いつでも売却・引き出し可能 |
| 手数料 | 開設手数料、口座手数料などが発生する | 多くのネット証券では全て無料 |
老後資金の形成は早ければ早いほど有利
老後資金の形成は、20代や30代といった早い時期から始めれば始めるほど、複利の力を活用できるため有利となります。
金融庁の「つみたてシミュレーター」によると、毎月5万円積み立てし、年率5%で、30年間運用すると、4,161万円となります。
一方、単に毎月5万円を30年間積み立てただけでは1,800万円です。
新NISAやiDeCoで、年率5%以上の利回りが期待できる米国株投信や世界株投信(オルカン)を、毎月5万円積み立てれば決して不可能ではありません。
新NISAの人気商品となっている米国株投信「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は直近5年間の年率+23.65%、オルカンこと「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は年率+20.80%です(いずれも2025年6月末時点)。
さすがに、直近5年間の数字は出来過ぎですが、今後も世界経済成長率5%以上の利回りが続くことは十分に期待できます。
支出を抑えて乗り切る工夫も重要

老後の固定費を見直すにはどうすればいいのか?
老後の家計を安定させるためには、支出の見直しが重要です。
老後は収入が年金に限られてくるため、「収入を増やす」よりも「支出を減らす」ほうが現実的な選択肢となります。
特に、保険や住宅ローン、自動車の維持費といった固定費の見直しが効果的です。
一例としては、子育てが終われば不要な保険も出てくるため、老後に必要な保障に絞って見直すことで保険料を削減できます。
また、定年までに住宅ローンを完済しておけば、住居費の負担は大きく減ります。住宅ローンの繰上返済も検討するようにしてみてください。
さらに、自動車を手放せば、維持費や税金、保険料も不要になります。
ただし、生活水準を落とすのは簡単ではなく、満足感や幸福度が下がってしまっては本末転倒です。
現役時代から無理のない節約習慣を身につけ、老後も無理なく楽しく生活できる家計体質をつくっておくことは、資産形成と同様に重要な老後への取り組みです。
不足しそうなときに頼れる制度や選択肢とは

どうしても足りない場合は何を頼れるのか?
どれだけ計画的に準備していても、病気や予期せぬ出費で老後資金が足りなくなる可能性はあります。
そのためにも、最低限の生活を支えるための公的制度を知っておくことが大切です。
「生活保護」は、収入や資産が一定以下であれば、高齢者も対象です。近年は、持ち家があっても受給できるケースも散見されるようになってきています。
また、国民年金だけで年金額が少ない世帯には、「年金生活者支援給付金」として月額5,450円(2025年度)が支給されています。
医療費負担は70歳以上は2割負担となり、75歳以上は後期高齢者として1割負担です。さらに、医療費が高額になってしまった場合には「高額療養費制度」があります。
介護費が高額になってしまった場合には「高額介護サービス費」「高額介護予防サービス費」が受けられ、医療介護を合算した「高額医療合算介護サービス費」もあります。
自宅を所有している人であれば、「リバースモーゲージ」の活用も選択肢です。
リバースモーゲージは、自宅を担保に金融機関から資金を借りる仕組みで、住宅を売らずに老後資金を得られます。ただし、金利上昇や不動産価格の下落などのリスクもあるため、慎重な判断が必要です。
最も効果的な老後資金対策は生涯現役

死ぬまで働くことで老後年金問題は解決してしまう
最も現実的で強力な老後資金対策として「生涯現役で働く」という選択肢があり、新NISAやiDeCoよりもはるかに効果的です。
生涯現役の有効性は簡単な計算からも明らかであり、仮に65歳から年収200万円で10年間働けば、それだけで+2,000万円の収入となります。
国も、年金問題や人手不足対策として生涯現役を推奨する制度改正を進めており、在職中の年金停止額の基準となる「在職老齢年金」は2025年から62万円へと大きく引き上げられます。
また、仕事を続けることで収入が得られるだけでなく、社会とのつながりも維持され、生活にハリが出てQOL(生活の質)も向上します。
もちろん体力や健康、就労環境には個人差がありますが、近年はシニア向けのパート・アルバイトや、在宅ワーク、副業など働き方の選択肢も広がっていることは事実です。
重要なのは、老後を「引退」と考えるのではなく、「第2のキャリア」として前向きにとらえることです。
無理なく働ける環境を整え、自立した老後を送るためにも、生涯現役という考え方は強力な武器になります。
最も理想的なのは、生涯現役で働くことを見据えながら、資産形成や節約も同時に進めていくことであるのは言うまでもありません。
まとめ
65歳以降の「年金収入」と「消費支出」を見てみると、老後資金2,000万円はやや過大とも言えます。
とはいえ、幸福な老後を送る上で、資産形成や節約をすることが重要なのは言うまでもありません。
最も理想的なのは、生涯現役で働くことを見据えつつ、資産形成や節約も同時に進めていくことかと思われます。
Q&A
Q1 老後資金はいくら必要?
A1 国のデータ(2024年)としては、65歳以上の可処分所得233,097円、消費支出259,295円となっており、収支-26,198円となっています。30年間としても1,080万円となる計算です。
Q2 老後資金を貯める方法は?
A2 iDeCoや新NISAを活用して資産形成する方法が挙げられます。「毎月5万円積み立て」「年率5%」「30年間運用」で4,161万円となる計算です。
Q3 老後資金を貯める以外に有効な方法は?
A3 節約習慣を身に付けることや保険や住宅ローンの見直しなど、支出面でもできることは多くあります。また、生涯現役で働けば、そもそも老後資金問題自体が存在しなくなってしまいます。









