更新日:2025.8.15
60代の貯金はいくら必要?安心して暮らすための資金計画は?
60代のお金事情について、「60代の貯金はいくら必要?」「老後に安心して暮らすためには?」など、気になっている方は多いのではないでしょうか。
60代で定年退職になると、資産を取り崩していく生活が始まります。
60代から収入を増やすことは難しいですが、年金以外の収入源の確保や固定費の削減など、豊かな老後に向けてできることは少なくありません。
本記事では、60代の貯蓄額の実態、老後に必要な貯金額や取り崩しのペース、支出を減らすポイント、生涯現役という選択肢について解説しています。
Contents
60代の平均貯金額と生活の実態

60代世帯の貯金額はどのくらいなのか?
金融庁が2024年に実施した「家計の金融行動に関する世論調査」によると、60代世帯の平均貯金額は、次のようになっています。
| 60代世帯の平均貯金額 | 平均値 | 中央値 |
|---|---|---|
| 二人以上世帯 | 2,033万円 | 650万円 |
| 二人以上世帯(金融資産保有世帯のみ) | 2,581万円 | 1,140万円 |
| 単身世帯 | 1,679万円 | 350万円 |
| 単身世帯(金融資産保有世帯のみ) | 2,363万円 | 960万円 |
※出典:金融庁「家計の金融行動に関する世論調査」
60代世帯について、二人以上世帯の平均値は2,033万円、中央値は650万円。単身世帯の平均値は1,679万円、中央値は350万円となっています。
なお、これは金融資産を保有していない世帯を含むもので、金融資産を保有していない割合は、二人以上世帯は20.5%、単身世帯は27.7%です。
金融資産保有世帯に限ると、二人以上世帯の平均値は2,581万円、中央値は1,140万円。単身世帯の平均値は2,363万円、中央値は960万円となっています。
60代は平均値が2,000万円前後となっているものの、中央値は350〜650万円となっており、個人差が大きいことが分かります。
また、二人以上世帯の5世帯に1人、単身世帯の4人に1人は金融資産を保有していません。
老後に必要なお金はいくらなのかを把握する

老後資金の必要額はどのくらいを見込むべきなのか?
60代は、定年と年金受給が始まり、老後資産を切り崩して生きていくスタート地点と言える年代です。
実際に、老後資金の必要額はどのくらいを見込むべきなのかを見ていきましょう。
金融庁は2019年に「老後2,000万円問題」を発表して大きな話題となりました。
ただ、これは夫婦で年金以外に月5.5万円不足して、30年生きると約2,000万円が不足するという単純な試算に基づくもので、やや誇張されている面が否めません。
総務省の「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の世帯の消費支出は265,898円となっています。
二人以上の世帯のうち65歳以上の無職世帯の消費支出について、世帯主の年齢別、年金収入も合わせて見ると、次の通りです。
| 65歳以上全体 | 65~69歳 | 70~74歳 | 75歳以上 | |
|---|---|---|---|---|
| 実収入 | 266,329円 | 307,741円 | 275,420円 | 252,506円 |
| 可処分所得 | 233,097円 | 266,336円 | 240,596円 | 221,948円 |
| 消費支出 | 259,295円 | 311,281円 | 269,015円 | 242,840円 |
| 収支 | -26,198円 | -44,945円 | -28,419円 | -20,892円 |
※出典:総務省「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
なお同資料では、65歳以上の単身無職世帯は、実収入134,116円、可処分所得121,469円、消費支出149,286円、収支-27,817円となっています。
仮に65歳から月3万円の赤字が30年間続いた場合には、3万円×30年間×12ヶ月=1,080万円となる計算です。
金融庁の「老後2,000万円問題」はやや誇張であると言えますが、月30万円以上のゆとりある生活をするには、2,000万円以上あるに越した方がよいことは間違いありません。
貯金の取り崩しと使い方に注意する

どんなペースで取り崩せば安心なのか?
60代は、現役時代に蓄えた貯金を「いかに長持ちさせるか」が重要なテーマになります。
一般的な目安として、月5万円の取り崩しなら年間60万円、30年で1,800万円という試算ができます。
もちろん、年金やその他の収入と合わせて家計を組むため、必ずしも一律ではありませんが、「一定のペースを守る」ことが資産寿命を延ばすポイントです。
無理に生活を切り詰めすぎると、健康やQOL(生活の質)を損なう可能性があるため、無駄遣いを抑えながらも、人付き合いや趣味など必要な支出にはしっかり回すバランスが大切です。
例えば、外食を減らす代わりに、旅行など思い出になる支出を優先するなど、消費や体験の優先順位を付けた上で節約するようにしましょう。
取り崩しのペースを決める際は、将来の医療費や介護費といった突発的な出費も想定し、余裕を持った計画を立てることが安心につながります。
年金以外の収入源をどう確保するか

年金のほかにどんな収入源があれば安心なのか?
公的年金だけで生活するのは難しいケースも多く、60代では「第2の収入源」を確保することが生活の安定に直結します。
「年金+α」の収入があるだけで、取り崩し額を減らし、資産寿命を大幅に延ばせます。
まず、退職金や企業年金、個人年金保険がある場合は大きな強みです。
これらを定期的な受け取りに設定すれば、年金に加えて毎月のキャッシュフローが安定します。
また、自宅の一部を貸して家賃収入を得る「リフォーム+賃貸」や、駐車場貸しといった不動産投資も選択肢です。
株の配当金やETF(上場投資信託)の分配金も老後の武器になることはもちろん、新NISAで保有していれば非課税となります(「株式数比例配分方式」で保有する必要がある点には注意しておきましょう)。
さらに、趣味や特技を収入化する道も考えられます。
例えば、手芸品の販売、家庭菜園の野菜販売、写真やイラストのネット販売などは、初期コストを抑えて始めやすい副収入源です。
事業化できれば、青色申告特別控除などの税優遇を受けながら、事業所得にすることも不可能ではありません。
重要なのは、体力や時間に負担をかけすぎず、継続できる方法を選ぶことにあります。
支出を減らすための見直しポイント

生活費を抑えるために見直すべき項目は?
60代以降は、収入を増やすことは難しいため、固定費の見直しなどで支出を減らすことが、資産寿命を延ばす上で非常に重要になってきます。
まずは、保険の整理から着手しましょう。
医療や介護保険は必要最低限とし、保障が重複している場合は一本化することで、年間数万円単位の節約が可能です。
次に、サブスクや趣味費を点検し、使っていないサービスや、ほぼ利用しないジムなどは解約すれば、その分が毎月のゆとりにつながります。
さらに、自動車の維持費は大きな負担です。
地方在住でなければ、車を手放すことで年間数十万円の固定費削減が実現するほか、高齢者の交通事故リスクの軽減にもつながります。
「車のない生活」には抵抗があるかもしれませんが、移動は公共交通機関やカーシェアで十分カバーできるケースも多くなっているため、検討の余地はあります。
なお、食費は無理に節約してしまうとQOLを減らすことになってしまうため、外食を減らす程度にしておくことが賢明です。
老後に向けた最強の対策は生涯現役

生涯現役で働くという選択肢
あまり多くの人に受け入れられる選択肢ではありませんが、60代における最も強力な老後資金対策のひとつが、「生涯現役で働く」というライフスタイルです。
資産運用や節約も重要ですが、安定した収入が老後にも継続して入ってくる効果は絶大です。
例えば、65歳から年収200万円で10年間働けば、それだけで+2,000万円の収入になります。
これは、新NISAやiDeCoの長期運用よりも短期間で確実な成果が期待できるものです。
仮に、65歳時点で貯金0円、新NISAもiDeCoもやっていなかったとしても、生涯現役で働くだけで、老後2,000万円問題そのものが存在しなくなってしまいます。
なお、もちろん、生涯現役で働くと決めていたからといって、貯金も資産運用もしないという姿勢は推奨はできません。
近年は、国も年金制度や雇用制度を改正し、シニア層の就労を後押ししています。
2026年からは、在職老齢年金の支給停止基準額が62万円に引き上げられ、より働きながら年金を受け取りやすくなります。
さらに、シニア向けのパート・アルバイト、在宅ワーク、副業など、体力やライフスタイルに合わせた働き方の選択肢も拡大中です。
今後の日本では、少子化と人口減少を背景に人手不足が加速することはほぼ確実なトレンドのため、「生涯現役」には追い風です。
また、 働くことは収入面だけでなく、社会とのつながりや生活の張り合いにもつながり、QOL(生活の質)を高める効果もあります。
重要なのは、老後を「完全引退」ととらえず、「第2のキャリア」として前向きに構築することにあります。
無理なく続けられる仕事環境を整え、資産形成や支出の見直しと並行して進めることが、安心で自立した老後への近道になるでしょう。
まとめ
60代で定年退職となると、年金で足りない分は資産を取り崩していく生活となるため、ゆとりある老後を送るには2,000万円以上の資産は欲しいということが実態です。
新NISAやiDeCoに比べると人気はないものの、60代以降も資産形成をしながら「生涯現役で働く」という選択肢は非常に強力なものです。
Q&A
Q1 60代の貯金額の平均は?
A1 金融庁「家計の金融行動に関する世論調査」によると、二人以上世帯の平均値は2,033万円(中央値は650万円)、単身世帯の平均値は1,679万円(中央値は350万円)となっています。
Q2 老後に安心して暮らすために必要な資金は?
A2 金融庁の「老後資金2,000万円問題」はやや誇張だとしても、ゆとりある老後を送るには2,000万円以上あった方がいいことは間違いありません。
Q3 60代が老後に向けてできることは?
A3 固定費の削減や資産運用などがありますが、最も効果的なのは「生涯現役で働くこと」です。働くことで社会や人とのつながりを保ち、老後のQOLを高める効果も期待できます。









