更新日:2026.3.25
出産手当金はいくらもらえる?受給の条件は?
出産手当金について気になっていて、「出産手当金はいくらもらえる?」「出産手当金の受給条件は?」など、お困りではありませんか。
出産手当金は、会社員や公務員などが出産のために仕事を休んだときの所得補償制度で、出産そのものに支給される「出産育児一時金」とは別に支給されるものです。
出産手当金を確実に受給するためには、事前準備をしっかりとしておくことがポイントです。
本記事では、出産手当金の概要や出産育児一時金との違い、出産手当金の受給条件や受給額について解説しています。
出産手当金とは?

出産のために仕事を休んだときの所得補償制度
出産手当金とは、会社員や公務員など健康保険に加入している人が、出産のために仕事を休み、その間に給与の支払いを受けられない場合に支給される公的給付制度です。
出産前後は法律で休業が認められており、その期間の生活を支える目的で設けられています。
支給対象となるのは、出産日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から、出産日の翌日以後56日までのうち、会社を休んだ日数分です。
なお、出産予定日より遅れて出産した場合には、遅れた期間についても支給対象となり、支給期間は「出産予定日前42日+出産予定日から遅れた出産日までの日数+産後56日」となります。
受給するための基本条件と対象者
出産手当金を受け取るためには、いくつかの条件があります。
まず、勤務先の健康保険に加入していることが前提で、国民健康保険の加入者は原則対象外です。
また、出産のために実際に仕事を休み、その期間に給与の支払いがない、または支給額が出産手当金より少ないことが必要です。
なお、「出産」とは妊娠4か月(85日)以降の分娩をいい、早産や流産、死産も対象に含まれます。
出産育児一時金との違い
出産に関する公的給付には「出産手当金」と「出産育児一時金」がありますが、制度の目的や支給内容は大きく異なります。
出産手当金は、出産のために仕事を休んだ期間の収入補償を目的とした制度で、健康保険から給与の約3分の2相当額が支給されます。
一方、出産育児一時金は、出産にかかる医療費の負担軽減を目的とした給付で、原則として子ども1人につき50万円(産科医療補償制度に未加入の場合は48.8万円)が支給されます。
| 制度名 | 目的 | 支給額の目安 | 主な対象者 |
|---|---|---|---|
| 出産手当金 | 産前産後の収入補償 | 標準報酬日額の2/3×休業日数 | 健康保険に加入する被保険者本人 |
| 出産育児一時金 | 出産費用の補助 | 原則50万円 | 健康保険·国民健康保険の加入者 |
もちろん、両制度は併用可能です。
また、出産育児一時金は、国民健康保険の加入者も対象となります。
出産手当金の計算方法と支給額の目安

給与の「3分の2」が基本!正確な計算式の仕組み
出産手当金の支給額は、一般に「給与の約3分の2」と説明されますが、実際は明確な計算式に基づいて算出されます。
正確には、1日あたりの給付金額は、次の2段階の計算式で計算されます。
1. 「支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均額 ÷ 30日」(※10円未満切り捨て)
2. 「(1で求めた数値)× 2/3」(※1円未満四捨五入)
上記はより詳細な計算式であり、次の計算式として押さえておいて問題ありません。
● 支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30日 × 2/3
ここで基準となるのは、「手取り額」ではなく、基本給や各種手当を含めた「標準報酬月額」です。
そのため、実際の手取り給与よりも額面に近い水準をもとに算定されます。
ただし、直近で昇給や賞与増減があった場合でも、過去12ヶ月の平均で決まる点には注意が必要です。
また、支給開始日以前の期間が12ヶ月に満たない場合は、次のいずれか低い額を使用して計算します。
● 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
● 標準報酬月額の平均額
支給開始日が令和7年3月31日以前の方:30万円
支給開始日が令和7年4月1日以降の方:32万円
実際の手取り額は?

出産手当金は「非課税」で手取りが減らない
出産手当金は税法上「非課税所得」とされているため、所得税や住民税が差し引かれることはありません。
給与とは異なり、支給額をそのまま受け取ることができます。
また、翌年の住民税を計算する際の所得にも含まれないため、産休中に受け取った金額が将来の税負担を増やす心配も不要です。
産前産後は支出が増えやすい時期ですが、税金がかからない給付であることを理解しておくことで、家計管理の見通しも立てやすくなります。
産前産後休業中は社会保険料が免除される
会社員や公務員が健康保険と厚生年金に加入している場合、産前産後休業期間中および3歳未満の子を養育するための育児休業等期間中の保険料は、申請により免除されます。
免除期間は、産前42日(多胎妊娠は98日)から産後56日までのうち、実際に休業した期間です。
この間は会社負担分と本人負担分ともに免除となり、給与が支払われていなくても保険料の支払いは不要です。
さらに、保険料を納めていなくても将来の年金額は減りません。
また、出産育児休業中には、給料が出ていなくても、標準報酬月額も下がりません。
一方、自営業やフリーランスが加入する国民健康保険では、出産予定月の1か月前から4か月間(多胎妊娠の場合は、出産予定月の3か月前から6か月間)の国民年金保険料が免除されます。
この期間は国民年金保険料を納めなくても、納めたものとして記録されます。
| 区分 | 会社員(健康保険+厚生年金) | 自営業等(国民健康保険+国民年金) |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 免除(本人·会社分) | 原則免除なし(自治体により軽減措置あり) |
| 年金保険料 | 免除(将来の年金額に影響なし) | 出産前後一定期間は免除(納付済み扱い) |
| 対象期間 | 産前42日〜産後56日(多胎は98日) | 出産予定月の前後4か月(多胎は6か月) |
出産手当金が支給調整となるケースとは?
原則として、出産手当金が支給調整となり減額されることはありません。
ただ、傷病手当金を受給していた期間に、出産手当金が支給される場合には、その期間中には傷病手当金は支給されません。
このとき、出産手当金の額が傷病手当金の額より少なくなるときは、その差額が傷病手当金として支給されます。
いつ振り込まれる?対象期間とスケジュールの把握

支給対象となる「産前42日・産後56日」の期間
出産手当金の支給対象となるのは、出産予定日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から、出産日翌日以後56日までの期間です。
単胎の場合は、原則として合計98日間が対象となります。
なお、出産日が予定日より遅れた場合、その遅れた日数分も産前期間に加算されるため、支給日数はその分増える仕組みです。
一方、予定日より早く出産した場合には、実際の出産日を基準に産前期間が確定するため、申請内容によっては産前休業の日数が減る場合があります。
いずれにしても、実際に会社を休んだ日が対象となるため、有給休暇の扱いなども含めて勤務先と事前に確認しておくようにしましょう。
受給するための「対象者条件」は?

会社の健康保険に加入している本人が対象
出産手当金を受給できるのは、会社の健康保険に加入している「被保険者本人」です。
夫の扶養に入っているパート従業員や、国民健康保険に加入している自営業者などは原則として対象外となります。
雇用形態は正社員に限らず、契約社員やパートタイマーであっても、勤務先の健康保険に加入していれば支給対象になります。
退職後には、次の2点を満たしている場合には、引き続き、出産手当金の支給を受けられます。
● 被保険者の資格を喪失した日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間がある。
● 資格喪失時に出産手当金を受けている、または受ける条件を満たしている。
申請手続きの流れと必要書類の書き方
出産手当金の申請には、健康保険所定の申請書を提出する必要があります。
申請書には、本人記入欄のほか、「医師の証明(出産日や出産の事実)」と「事業主の証明(休業期間や給与支払い状況)」の2つが必要です。
スムーズに進めるためには、産休前に会社から申請書を受け取り、入院時に医師へ証明欄の記入を依頼しておくと安心です。
その後、会社に勤務状況の証明を記入してもらい、健康保険へ提出します。
通常は産後にまとめて申請する流れとなるため、事前準備が受給遅れを防ぐポイントになります。
産前分、産後分など複数回に分けて申請することも可能です。
なお、このとき医師の証明は2回目以降は省略可能ですが、事業主の証明欄については毎回証明が必要です。
まとめ
出産手当金は、出産のために仕事を休んだ際の給付制度で、出産そのものに給付される「出産育児一時金」とは別に支給されるものです。
出産手当金の額は「給与の3分の2」が一つの目安となっており、非課税であるため手取り額が減ることもありません。
出産手当金をスムーズに受給するためには、会社への連絡など事前準備がポイントとなります。
Q&A
Q1 出産手当金はいくらもらえる?
A1 出産手当金の1日当たりの支給額は「支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30日 × 2/3」で計算されます。なお、出産手当金は非課税であり、産前産後休業中は社会保険料が免除されるため、額面がそのまま支給されます。
Q2 出産手当金の受給条件とは?
A2 出産手当金は、勤務先の健康保険に加入している人が対象です。出産のために実際に仕事を休み、その期間に給与の支払いがない、または支給額が出産手当金より少ない場合に支給されます。
Q3 出産手当金と出産育児一時金の違いとは?
A3 出産手当金は、出産のために仕事を休んだ期間の収入補償を目的とした制度です。一方、出産育児一時金は、出産にかかる医療費の負担軽減を目的とした給付で、子ども1人につき50万円が支給されます。両制度は併給可能です。







