更新日:2026.4.8
名義預金とは?ペナルティや回避する方法は?
名義預金について気になっていて、「そもそも名義預金とは?」「名義預金のペナルティを回避する方法は?」など、疑問に思っていませんか。
名義預金とは、預金口座の名義人と、実際にそのお金を管理している人が異なる状態の口座です。
名義預金を放置したまま相続を迎えると、税務署から指摘されて、相続税額が大きくなるペナルティを課されるケースがあるため注意が必要です。
本記事では、名義預金の判定基準、名義預金のペナルティ、正しい贈与で名義預金のペナルティを回避する方法について解説しています。
Contents
名義預金とは

名義預金の定義は「名義人と実質的持ち主の不一致」
名義預金とは、預金口座の名義人と、実際にそのお金を管理している人が異なる状態の口座のことです。
たとえば、口座名義が妻や子どもになっていても、資金の出どころが被相続人(亡くなった人)の収入であり、通帳や印鑑を被相続人が管理していた場合、その預金は実質的に被相続人の財産と判断される可能性があります。
相続税逃れを防ぐ観点から、税務署は「形式的な名義」ではなく「実質的な所有者」が誰かを重視します。
生前贈与のつもりで家族名義の口座に預けていても、実態が伴っていなければ相続財産に含まれてしまうリスクに注意が必要です。
税務署はここを見る!名義預金とみなされる判定基準

「資金の原資」と「管理・運用」の実態
税務署が名義預金かどうかを判断する際に重視するのが、「資金の原資」と「管理と運用の実態」です。
まず、その預金の元手が、「誰の収入から出ているのか」が確認されます。
専業主婦や収入のない学生名義の口座に多額の預金がある場合、原資が被相続人の収入である可能性が高く、調査対象となりやすい傾向があります。
また、通帳や印鑑、キャッシュカードを誰が保管し、実際の入出金を誰が行っていたかも重要な判断材料です。
名義人本人が自由に使える状態でなければ、実質的な所有者は別にいるとみなされる可能性が高くなります。
名義預金と認定された場合の「ペナルティ」と税金

本来の相続税に加えて「延滞税」や「加算税」が発生
名義預金と認定されると、その預金は被相続人の財産として相続税の課税対象に組み込まれます。
すでに相続税申告を済ませている場合でも、修正申告が必要となり、不足していた相続税を追加で納めなければなりません。
さらに、納付が遅れた期間に応じた「延滞税」が発生します。
申告漏れと判断されれば「過少申告加算税」、意図的な隠蔽や仮装があったと認定されれば最大40%の「重加算税」が課される可能性もあります。
| ペナルティの種類 | 内容 | 税率・計算方法の目安 |
|---|---|---|
| 相続税の追加納付 | 申告漏れとなっていた財産を相続財産に含めて再計算し、不足分の相続税を納付する | 不足していた本税額 |
| 延滞税 | 納期限までに相続税を支払わなかった場合に課される遅延ペナルティ | ・納期限翌日から2か月以内:年7.3% ・納期限の翌日から2か月を経過した日以後:年14.6% |
| 過少申告加算税 | 申告額が実際より少なかった場合に課される | 追加納税額の10% ※期限内申告税額または50万円を超える部分は15%)※自主的な修正申告なら原則不要 |
| 重加算税 | 財産の隠蔽や仮装など悪質と認定された場合に課される | 原則35%(無申告の場合は40%) |
※出典:延滞税:国税庁「延滞税について」、過少申告加算税:国税庁「確定申告を間違えたとき」、重加算税:国税庁「相続税及び贈与税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
名義預金が発覚すると、相続税の追加納税だけでなく、複数の附帯税が重なる可能性があります。
特に、重加算税が適用されると税負担は大幅に増えるため、形式だけの名義変更ではなく、適正な生前贈与や正確な申告を行うことが重要です。
正しい「生前贈与」で名義預金を回避する方法

贈与契約書の作成と「銀行振込」での証拠残し
名義預金とみなされないためには、形式だけでなく実態を伴った生前贈与を行うことが重要です。
最も有効な方法は、贈与の都度、「贈与契約書」を作成し、贈与者と受贈者の双方が署名と捺印を行うことです。
これにより、贈与の意思表示と合意があった証拠を残せます。
また、現金手渡しではなく銀行振込を利用し、双方の通帳に資金移動の履歴を明確に残すことも大切です。
さらに、受贈者本人が通帳や印鑑を管理し、自由に使える状態にしておくことで、「実質的な所有者」が誰かを明確にできます。
贈与税が発生する場合にはしっかりと申告する
贈与税(暦年課税)は、個人が1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産について課税される税金です。
贈与税には「基礎控除」と呼ばれる非課税枠があり、年間110万円までの贈与であれば税金はかかりません。
贈与税の申告は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、受贈者(贈与を受けた者)の納税地の所轄税務署長に提出します。
贈与税の申告をしっかりしておけば、税務調査が入った際にも、名義預金を否定できる証拠となるでしょう。
ただ、贈与税は、両親や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた「特例贈与財産」であっても、相続税に比べると控除が少なく、税率が高くなっています。
| 基礎控除後の課税価格 | 200万円以下 | 300万円以下 | 400万円以下 | 600万円以下 | 1,000万円以下 | 1,500万円以下 | 3,000万円以下 | 3,000万円超 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 税 率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
| 控除額 | – | 10万円 | 25万円 | 65万円 | 125万円 | 175万円 | 250万円 | 400万円 |
そのため、贈与は基礎控除に収まる年間110万円までにしておき、贈与税はなるべく払わないようにすべきということが、タックスプランニングを含めた資産形成の一般論です。
贈与税の非課税制度(住宅・教育資金・結婚子育て資金)を活用する
住宅資金や教育資金、結婚や子育て資金については、国が用意している贈与税の非課税制度の活用を推奨します。
贈与税には、住宅資金、教育資金、結婚子育て資金の3つについて非課税制度が設けられています。
ただ、一部の制度は終了に向かっているため注意が必要です。
住宅資金の贈与が非課税となる「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」は、2026年12月31日までに、省エネ住宅資金は1,000万円、それ以外は500万円までが非課税となります。
教育資金の贈与が非課税となる「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」は、2026年3月31日までに、教育資金1,500万円まで(学校等以外は500万円まで)が非課税となる制度です。
ただ、教育資金贈与の非課税については、2026年3月31日に制度終了となる見込みのため、注意しておきましょう。
結婚や子育て資金の贈与が非課税となる「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」は、2027年3月31日までに、結婚資金1,000万円までが非課税となります。
| 贈与税の特例 | 住宅資金 | 教育資金 | 結婚や子育て資金 |
|---|---|---|---|
| 非課税対象 | ・省エネ住宅:1000万円 ・その他住宅:500万円 |
・学校:1,500万円 ・学校以外:500万円 |
結婚資金:1,000万円 |
| いつまで | 2026年12月31日まで | 2026年3月31日まで | 2027年3月31日まで |
時効はある?過去の名義預金を解消するための対策

名義預金に「時効」はなく、相続時に精算される
「昔に作った口座だから大丈夫」と考えるのは危険です。
贈与税には、原則6年の時効がありますが、名義預金はそもそも「贈与が成立していない財産」と判断されるため、時効の考え方は適用されません。
つまり、何十年前に家族名義で預けた預金であっても、実質的な管理者が被相続人であれば、相続発生時にはそのまま相続財産として課税対象になります。
過去の預金移動も調査対象となる可能性があるため、問題がある場合は早めに整理し、正式な贈与手続きや資産の名義変更を検討することが重要です。
なお、相続税の時効は、原則として申告期限(被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月後)の翌日から5年ですが、申告漏れなどがあった場合には7年に延長されます。
よって、相続税の申告期限から5年もしくは7年以内に税務署から課税処分がなければ、相続税のペナルティの可能性はなくなるということです。
ただ、「どうせバレないだろう」と安易に考えて、名義預金を放置するのは危険な行為と言わざるを得ません。
「毎年110万円ずつ贈与する」「住宅資金や結婚資金などの贈与税の特例を使って贈与する」など、合法的に課税なしで名義預金を解決できる方法を活用するようにしましょう。
まとめ
名義預金は、預金口座の名義人と、実際にそのお金を管理している人が異なる口座で、相続税額が大きくなるペナルティに注意が必要です。
税務署から名義預金を指摘されるリスクは、「毎年110万円ずつ贈与する」「住宅資金や結婚資金などの贈与税の特例を使って贈与する」など、制度上の合法的な方法で解決できます。
名義預金は放置せず、できるだけ税金が少なくなる方法で解決するようにしておきましょ
Q&A
Q1 名義預金とは?
A1 預金口座の名義人と、実際にそのお金を管理している人が異なる状態の口座です。相続税逃れを防ぐ観点から、税務署から指摘されるリスクがあります。
Q2 名義預金のペナルティとは?
A2 名義預金が発覚すると、相続税の修正申告が必要となり、不足していた相続税を追加で納めなければなりません。さらに、「延滞税」や「過少申告加算税」、悪質な場合には最大40%の「重加算税」が課される可能性もあります。
Q3 名義預金を回避する方法とは?
A3 贈与契約書の作成や、銀行振込で証拠を残すなど、贈与契約の証拠を残しておくことが有効です。ただ、そもそも贈与税はなるべく払わない方がよい税金のため、「毎年110万円ずつ贈与する」「住宅資金や結婚資金など贈与税の特例を使って贈与する」といった方法を使えば、贈与税も払わずに回避可能です。







