更新日:2025.7.22
なぜiDeCoが節税になる?年収別の節税効果
iDeCoの節税効果について、「なぜiDeCoが節税になるの?」「家の年収ではiDeCoでいくら節税できる?」など、気になっていませんか?
iDeCoは、(1)掛金が全額所得控除の対象、(2)運用益は非課税、(3)受け取り時に公的年金等控除・退職所得控除を受けられるという、3つの節税効果を受けながら資産形成できます。
ただ、iDeCoの節税効果は年収ごとに異なり、受け取り時には退職金や公的年金の額によって最適戦略が異なってくるため注意が必要です。
本記事では、iDeCoの節税効果の基本から、年収別のiDeCo節税額、iDeCoのメリット・デメリットについて解説しています。
Contents
iDeCoの基本と節税の仕組み

そもそもiDeCoはなぜ節税になるのか?
iDeCoは、次の3つの税制優遇効果を受けながら老後に向けた資産形成ができる制度です。
1. 掛金は全額が所得控除の対象となる
2. 運用益は非課税となる
3. 受け取り時に公的年金等控除・退職所得控除を受けられる
第一に、掛金が全額「所得控除」の対象となり、課税所得を直接減らせます。
これにより所得税と住民税の負担が軽くなり、年収や税率によっては年間で数万円〜十数万円の節税効果が期待できます。
iDeCoでは口座維持手数料が発生しますが、所得控除だけでも簡単に元を取れてしまう計算です。
第二に、運用期間中の運用益が非課税になる点も大きなメリットです。
投資の利益(値上がり益、配当金・分配金)に対しては、20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の申告分離課税が発生します。
iDeCoでは非課税となり、課税されない分だけ長期運用の複利効果を最大限活かせます。
新NISAでも同様に恒久非課税ですが、iDeCoでは掛金を所得控除できる点が新NISAにはないメリットです。
第三に、60歳以降にiDeCoで運用した資産を受け取る際には、一時金で受け取る場合には「退職所得控除」、年金形式で受け取る場合には「公的年金等控除」を適用できるため、受取時の税負担も軽くすみます。
職業別のiDeCo掛け金上限額
iDeCoでは職業ごとに掛金の上限が設定されています。
| 職業 | 月額上限 | 年額上限 |
|---|---|---|
| 自営業者やフリーランス(国民年金第1号被保険者) | 6.8万円 | 81.6万円 |
| 会社員(企業年金なし) | 2.3万円 | 27.6万円 |
| 会社員(企業型DCのみ) | 2.0万円 | 24万円 |
| 会社員(DB、DB+企業型DC) | 2.0万円(※2024年12月〜) | 24万円 |
| 公務員 | 2.0万円(※2024年12月〜) | 24万円 |
| 専業主婦(主夫)(国民年金第3号被保険者) | 2.3万円 | 27.6万円 |
公務員や一部の企業年金加入者は、月額上限が1.2万円に制限されていましたが、2024年12月から2.0万円へと引き上げられました。
節税効果を年収別に見てみる

年収によってiDeCoの節税効果はどう変わるのか?
iDeCoの掛金は全額が所得控除となりますが、この節税効果は年収によって大きく異なります。
日本の所得税は累進課税制度を採用しており、年収が高いほど税率が高くなるため、同じ金額を拠出しても高所得者のほうが節税効果が大きくなります。
課税所得ごとに、iDeCoに月2万円(年間24万円)を拠出した場合のおおよその節税額は次の通りです。
| 課税所得 | 所得税率 | 住民税率 | 年間節税額(24万円拠出時) |
|---|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 10% | 3.6万円 |
| 195万円~330万円 | 10% | 10% | 4.8万円 |
| 330万円~695万円 | 20% | 10% | 7.2万円 |
| 695万円~900万円 | 23% | 10% | 7.92万円 |
| 900万円~1,800万円 | 33% | 10% | 10.32万円 |
| 1,800万円~4,000万円 | 40% | 10% | 12万円 |
| 4,000万円以上 | 45% | 10% | 13.2万円 |
このように同じiDeCoへの拠出額であっても、年収によって年間節税額には違いが出ます。
より具体的に、給与収入による年収が300万円、500万円、700万円の場合に、iDeCoに月2万円(年間24万円)を拠出したケースの節税額は次のようになります。
※課税所得=給与収入-給与所得控除として算出しています。
| 年収(給与収入) | 課税所得 | 税率合計(所得税・住民税) | 年間節税額(24万円拠出時) |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 202万円 | 20% | 4.8万円 |
| 500万円 | 356万円 | 30% | 7.2万円 |
| 700万円 | 520万円 | 30% | 7.2万円 |
iDeCoで月2万円(年間24万円)を拠出した場合、年収300万円の人と年収700万円の人では年間で2.4万円の節税効果の差が出ます(年収500万円と年収700万円の人では、同じ所得税20%ゾーンのため差は出ません)。
節税以上のメリットはあるのか

iDeCoの節税効果以外に得られるメリットは何か?
iDeCoの魅力は節税に加えて、長期投資による「複利効果」こそが、老後資産形成における大きなメリットです。
毎月一定額を積み立て、長期にわたって運用することで、元本に加えて運用益にもさらに利益が積み重なっていきます。
これは「お金が働いてお金を生む」状態を作り出すもので、若いうちから始めれば始めるほど、複利の恩恵を大きく受けられます。
例えば、iDeCoや新NISAでも人気の、S&P500指数に連動するインデックス型の米国株投信や、オルカンこと世界株投信は、年率10%前後のリターンを維持し続けています。
金融庁の「つみたてシミュレーター」を使って、「毎月2万円ずつ」「年率5%」「30年間」で運用すると、1,665万円となります。
iDeCoの2万円積み立てだけで、老後2,000万円問題はほぼ解決してしまう計算です。
また、iDeCoは自動積立の仕組みであるため、自分の意思に頼らずとも自然と資産形成が進められます。
つい使ってしまいがちな余剰資金も、自動で積立投資されるため、「消費から投資へ」資金の使い道を変えてくれます。
iDeCoでは制度上60歳までは原則引き出せないため、使わないお金として守られる効果もあります。
これは裏を返せばデメリットにもなりますが、確実に老後資金として蓄積するには強力なメリットとも言えるでしょう。
注意すべきデメリットと制限

原則60歳まで引き出せず口座維持手数料が発生する
iDeCoは、制度上の制限やコストといったデメリットにもしっかり目を向ける必要があります。
iDeCoよりも、新NISAの方がおすすめの人は少なくありません。
まず注意すべきなのが、iDeCoでは原則として60歳まで資金を引き出せない点です。
万一の病気や失業など、急な出費が必要になっても、iDeCoに積み立てた資金は使えません。
そのため、生活資金や短期の資金とは分けて運用することが大前提となります。
さらに、iDeCoでは口座開設時や運用期間中に、次のような手数料が発生することもデメリットです。
| 口座管理手数料 | 手数料の額 |
|---|---|
| 加入・移換時手数料 | 2,829円(初回のみ) |
| 国民年金基金連合会手数料 | 月額105円(掛金納付する月のみ) |
| 信託銀行手数料 | 月額66円 |
| 運営管理機関手数料 | 金融機関により異なる |
この中で毎月発生する手数料は、「国民年金基金連合会手数料」と「信託銀行手数料」です(「運営管理機関手数料」も発生しますが、多くのネット証券では無料となっています)。
つまり、iDeCoに毎月拠出する場合には、「国民年金基金連合会手数料」と「信託銀行手数料」が171円発生します。
手数料は拠出額に関係なく発生するため、月2万円の積み立てとすれば0.855%に相当し、手数料負担の割合が相対的に高くなってしまいます。
新NISAでは、いつでも引き出すことができ、手数料も一切掛からないため、所得控除の恩恵が小さい場合にはiDeCoより新NISAの方がおすすめです。
投資商品によっては元本割れのリスクもある
iDeCoは「確定拠出年金」という名の通り、運用成果がそのまま将来の受取額に反映される仕組みです。
選ぶ投資商品によっては、元本割れのリスクがあることを理解しておく必要があります。
特に、株式型や海外資産に投資する商品はリターンが大きい一方で、価格変動リスクも大きくなります。
投資初心者にありがちなのは、リスクを理解せずにアクティブファンドなどに飛び付いてしまうことです。
S&P500指数やオルカンといった、信託報酬が非常に低い、インデックス型の商品を選ぶことを基本に考えるようにしましょう。
受け取り時の節税も見逃せない

iDeCoの出口戦略はどう考えるべきなのか?
iDeCoは、出口戦略も重要です。
iDeCoの受け取りは原則60歳以降に開始となり、「一括受取」「年金受取」「一括と年金の併用」の3つから受け取り方法を選べます。
このとき「一括受取」と「年金受取」は、適用される控除が次のように異なる点に注意が必要です。
| 受取方法 | 適用される控除 | 税制の特徴 |
|---|---|---|
| 一括受取 | 退職所得控除 | 退職金と合わせて、税負担が軽減される |
| 年金受取 | 公的年金等控除 | 公的年金と合わせて、控除を適用しながら分割で受け取れる |
退職所得控除と公的年金等控除のどちらを適用するかについては、退職金と公的年金の額によって異なります。
退職金と同時にiDeCoを一括で受け取ると、退職所得控除を使い切ってしまい税金が増える場合があります。
老齢厚生年金などの公的年金が多い場合には、iDeCoで控除できる分の公的年金等控除が残らず、iDeCo分を減額できないケースに注意が必要です。
退職金と公的年金の額によって異なり、年金の繰下げ受給と退職後の社会保険料・税の調整にも関係してくる話となるため、より詳しくはFPに相談するなどしてください。
まとめ
新NISAにはないiDeCoの最大の節税メリットは、掛金が全額所得控除の対象となる点です。
ただ、iDeCoは職業によって掛金上限が異なり、節税効果も年収(課税所得)によって異なり、出口戦略の控除が複雑になる点には注意しておいてください。
iDeCoは、60歳まで原則引き出せず、口座維持手数料が発生するなどのデメリットもあるため、新NISAの方がおすすめの場合も少なくありません。
Q&A
Q1 iDeCoの節税効果とは?
A1 掛金は全額が所得控除の対象となる、運用益は非課税となる、受け取り時に公的年金等控除・退職所得控除を受けられるの3点です。特に、掛金が全額所得控除の対象となるのは新NISAにはないメリットです。
Q2 iDeCoの節税効果は年収によって変わりますか?
A2 日本は超過累進課税方式のため、高所得であればあるほどiDeCoによる節税効果は大きくなります。
Q3 出口戦略の節税方法は?
A3 iDeCOは60歳以降に引き出せますが、退職金・公的年金額によって最適戦略が異なってきます。年金繰下げ受給と税・社会保険料にも関わってくる話のため、より詳しくはFPに相談してみてください。









