更新日:2025.10.10

iDeCoの仕組みとは?なぜ節税効果がある?

iDeCoの仕組みとは?なぜ節税効果がある?

iDeCoについて気になっているものの、「iDeCoの節税効果って?」「iDeCoは新NISAとはどう違うの?」など、疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

iDeCoは、3つの税制優遇を受けながら、投資信託などで資産形成する制度となっており、自営業や会社員、公務員、専業主婦(夫)など多くの人が加入できます。

ただ、60歳まで原則解約できない、手数料が掛かる、対象商品が少ないなど、新NISAに比べたiDeCoのデメリットも少なくありません。

本記事では、iDeCoの制度や仕組み、他の年金制度との違い、iDeCoの節税効果、新NISAとの違いやデメリットについて解説しています。

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iDeCoはどんな制度?

iDeCoはどういう目的で作られた制度なのか?

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、公的年金だけでは将来の生活資金が十分に確保できないという課題を補うために作られた「私的年金制度」です。

少子高齢化が進む日本では、年金制度の持続可能性が大きなテーマとなっており、国としても国民が自助努力で老後資金を準備できる仕組みを整える必要がありました。

その一環として導入されたのが、iDeCoです。

iDeCoの最大の特徴は、加入者が自ら掛金を拠出し、その資金を投資信託や定期預金、保険商品などから選んで運用する点にあり、確定”拠出”年金と呼ばれるゆえんです。

将来受け取れる金額は運用成果によって変動しますが、掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象となり、所得税や住民税を軽減できる節税効果があります。

さらに、運用中の利益も非課税で再投資でき、受け取り時にも一定額まで税制優遇を受けられる仕組みとなっています。

iDeCoと他の私的年金制度の違い

iDeCoは個人が自ら加入して資産形成を行う「個人型確定拠出年金」ですが、同じく老後資金づくりを目的とした私的年金制度があります。

確定給付企業年金(DB)は、将来受け取る年金額があらかじめ決まっている制度です。

企業が運用を担うため、従業員にとっては運用リスクがなく、退職後の受取額をイメージしやすい点が特徴となります。

企業型確定拠出年金(企業型DC)は、企業が掛金を拠出し、従業員自身が運用方法を選ぶ制度です。

運用次第で受取額が増減しますが、iDeCoと同様に税制優遇があり、自分で資産を増やす意識を持ちやすい仕組みとなっています。

国民年金基金は、自営業者やフリーランスなど国民年金の第1号被保険者が加入できる制度です。

将来の受取額が定額で決まっており、公的年金を補完する「第二の年金」として利用されます。

制度名 将来の受取額 主な対象者
iDeCo(個人型DC) 運用次第で変動 自営業者、会社員、公務員など幅広い
確定給付企業年金(DB) あらかじめ決まっている 企業に勤務する従業員
企業型確定拠出年金(企業型DC) 運用次第で変動 企業に勤務する従業員
国民年金基金 定額で決まっている 自営業者・フリーランス(第1号被保険者)

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掛金の上限は?

iDeCoの掛金はいくらまで拠出できるのか?

iDeCoの掛金は、職業によって月額上限が次のように異なります。

職業 月額上限 主年額上限
自営業者やフリーランス(国民年金第1号被保険者) 6.8万円 81.6万円
会社員(企業年金なし) 2.3万円 27.6万円
会社員(企業型DCのみ) 2.0万円 24万円
会社員(DB、DB+企業型DC) 2.0万円(※2024年12月〜) 24万円
公務員 2.0万円(※2024年12月〜) 24万円
専業主婦(主夫)(国民年金第3号被保険者) 2.3万円 27.6万円

公務員や一部の企業年金加入者は、月額上限が1.2万円に制限されていましたが、2024年12月から2.0万円へと引き上げられました。

自営業者やフリーランスは月額6.8万円ですが、国民年金基金・付加保険料を納付する場合には、これらを合算した金額が上限になります。

企業型DCやDBにも加入している会社員の場合は、次のようにやや複雑になります。

● iDeCoの掛金額(月額最大2万円)=月額5.5万円-(企業型DCの事業主掛金+DB等の他制度掛金相当額)

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節税効果の全体像

iDeCoにはどんな節税メリットがあるのか?

iDeCoの最大のメリットは、老後資金を積み立てながら「3段階の節税メリット」を享受できる点です。

まず、掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象となり、課税所得を減らせます。

所得税や住民税が軽くなり、年収や税率によっては年間で数万円から十数万円程度の節税効果につながります。

iDeCoでは口座管理手数料がかかるものの、所得控除だけで簡単に元を取ることが可能です。

第二の節税効果として、iDeCo口座内での運用益が非課税となります。

通常、株式や投資信託の利益には20.315%の税金が課されますが、iDeCoではその負担がなく、長期投資における複利効果を最大限に活かせます。

新NISAでも運用益は非課税ですが、「掛金を所得控除できる」という点でiDeCoの方が有利です。

最後に、60歳以降の受取時にも税制上の優遇措置が設けられています。

一時金として受け取る場合は「退職所得控除」が、年金形式で受け取る場合は「公的年金等控除」が適用されるため、資産を取り崩す際の税負担も抑えられます。

iDeCoと新NISAの違い

iDeCoと新NISAは、投資の利益が非課税になる税制優遇を活かして資産形成ができる2大制度ですが、仕組みや使い勝手には大きな違いがあります。

iDeCoは「年金制度の補完」を目的とした私的年金で、掛金が全額所得控除の対象になる点が最大のメリットですが、原則60歳まで引き出せないという制約があります。

一方、新NISAは「資産形成支援制度」として設計され、投資の自由度が高く、いつでも売却して資金を引き出すことが可能です。

投資対象は、iDeCoでは金融機関が設定した投資信託に限定されている一方で、新NISAは投資信託に加えて株やETFにも成長投資枠で投資できます。

とはいえ、投資対象は新NISAの方が圧倒的に多いものの、投資初心者には多過ぎても選びにくいためiDeCoでも特に問題はありません。

投資の自由度や手数料負担では「新NISA」の方が優れており、非課税効果では「iDeCo」の方が優れていると言えます。

両方を併用することも可能なため、両者の特徴を理解し、ライフプランに応じて使い分けていきましょう。

項目 iDeCo 新NISA
税制メリット 掛金全額が所得控除、運用益非課税、受取時控除あり 運用益非課税(掛金控除なし)
引き出し 原則60歳まで不可 いつでも売却・引き出し可能/td>
投資上限 職業区分により月2万〜6.8万円 年間最大360万円(成長投資枠120万円、つみたて投資枠240万円)、累計1,800万円まで
投資対象 金融機関が設定した投資信託など 株、投資信託、ETFなど

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加入対象者は?

iDeCoに加入できる人と条件は?

iDeCoには、20歳以上60歳未満のほぼすべての人が加入できるようになっています。

自営業や会社員、公務員だけでなく、専業主婦(夫)、パート勤務の方まで幅広い層が対象です。

ただし、上述したように、他の私的年金制度の加入状況に応じて、掛金の上限額が異なってくる点には注意が必要です。

自営業やフリーランスであっても、国民年金基金に拠出している場合には、iDeCoの掛金額の上限は変わってきます。

会社員であっても、企業年金や企業型DC、DBへの加入状況によって、掛金額の上限は異なります。

立場によってiDeCoの拠出可能額が変わるため、自分がどの年金制度の被保険者区分に該当するのかを確認しておきましょう。

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iDeCo運用の注意点

原則60歳まで引き出せず手数料も発生する

iDeCoの注意点として、「原則60歳まで資産を引き出せない」という制約があります。

つまり、急な資金需要に対応することはできず、老後資金づくりに専念するための制度と割り切る必要があります。

掛金の変更や停止は可能ですが、掛金拠出を始めると原則として60歳までは継続しなければならない点は留意しておきましょう。

さらに、iDeCoでは次のような手数料が発生することもデメリットです。

口座管理手数料 手数料の額
加入・移換時手数料 2,829円(初回のみ)
国民年金基金連合会手数料 月額105円(掛金納付する月のみ)
信託銀行手数料 月額66円
運営管理機関手数料 金融機関により異なる

この中で毎月発生する手数料は、「国民年金基金連合会手数料」と「信託銀行手数料」です(「運営管理機関手数料」も発生しますが、多くのネット証券では無料です)。

つまり、iDeCoに毎月拠出する場合には「国民年金基金連合会手数料」と「信託銀行手数料」が最低171円発生し、拠出しない月にも「信託銀行手数料」が最低66円発生します。

手数料は拠出額に関係なく発生するため、仮に月2万円の積み立てで月171円とすれば拠出額の0.855%に相当する計算です。

原本割れのリスクがある

iDeCoの対象商品は、投資信託が中心です。

投資信託は、長期的な成長を期待できる一方で、市場環境によっては評価額が一時的に下がり、元本割れするリスクもあります。

iDeCoの対象商品は金融機関ごとに異なっていますが、用意されている投資信託は、低リスクのインデックス投信が中心となっています。

インデックス投信には、もちろん元本割れするリスクはありますが、元本を全て失ってしまうような商品はほとんどありません。

iDeCoには、元本保証型商品として、定期預金や保険商品も用意されています。

ただ、運用益が非課税になるiDeCoを始める以上は、投資信託にチャレンジした方が後悔も少なくなるのではないでしょうか?

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まとめ

iDeCoは、3つの税制優遇制度を受けながら、投資信託などで資産形成できる制度です。

iDeCoは、職業や他の私的年金制度への加入状況によって、拠出上限額が異なるため、確認しておくようにしましょう。

iDeCoを新NISAに比べると、投資の自由度や手数料負担では「新NISA」の方が優れており、非課税効果では「iDeCo」の方が優れていると言えます。

Q&A

Q1 iDeCoの節税効果とは?
A1 iDeCoには、掛金が全額所得控除となる、運用益は非課税、受け取り時にも控除が使えるという、3つの節税効果があります。特に、掛金が全額所得控除となるのは、新NISAにはない節税効果です。

Q2 iDeCoでは毎月いくらまで拠出できる?
A2 iDeCoでは職業によって月2万円から6.8万円まで拠出できます。ただ、国民年金基金や企業型DCなど、他の私的年金制度に加入しているとその分だけ拠出額が減る点には注意しておきましょう。

Q3 iDeCoのデメリットは?
A3 原則60歳まで資産を引き出せず、口座手数料が毎月発生する点が挙げられます。また、対象商品は金融機関で設定されているものに限られます。

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