更新日:2026.5.1

相続の限定承認とは?期限やデメリットはある?

相続の限定承認とは?期限やデメリットはある?

相続の限定承認について気になっていて、「限定承認とは?」「限定承認の期限は?」「限定承認にデメリットはある?」など、お困りではありませんか。

限定承認とは、プラス財産の範囲内でのみ、借金などの負債を返済する相続方法です。

限定承認は、相続人全員の同意が必要など手間やデメリットも多いため、借金が明らかに多い場合には「相続放棄」を選択する方がよい場合があります。

本記事では、限定承認のデメリットや期限、限定承認する場合の手続き、借金が多い場合には限定承認と相続放棄のどちらを選択すべきかなどについて解説しています。

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限定承認とは

限定承認とは?

限定承認とは、亡くなった人(被相続人)のプラス財産(積極財産)の範囲内でのみ、借金などのマイナス財産(消極財産)を返済する相続方法です。

通常の相続である「単純承認」では、預貯金や不動産などの資産だけでなく、借金や連帯保証債務などのマイナス財産もすべて無制限に引き継ぐことになります。

一方、限定承認を選択すれば、相続した財産を使って債務を清算し、それでも不足する分については相続人が自分の財産で支払う必要はありません。

そのため、借金の総額が分からない場合や、後から多額の負債や保証債務が発覚する可能性がある場合のリスク対策として有効な制度です。

財産調査を行っても債務の全体像がつかめないケースでは、相続人の責任を限定できる安全策として検討されることがあります。

通常の相続である「単純承認」と「限定承認」の違いは次のようになります。

項目 単純承認 限定承認
借金の扱い 無制限に引き継ぐ プラス財産の範囲内でのみ返済
手続き 特別な手続き不要 家庭裁判所への申立てが必要
相続人の同意 各相続人が個別に判断可能 相続人全員(相続放棄者は除く)の同意が必要
意思表示後の撤回 原則として撤回できない 原則として撤回できない
手続きの難易度 簡単 複雑で時間がかかる
利用状況 一般的 利用件数は少ない

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限定承認のデメリット

「相続人全員」で足並みを揃えて手続きする必要がある

限定承認を利用するためには、相続人全員が共同で家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。

相続放棄の場合は各相続人が個別に判断して単独で手続きできますが、限定承認は制度上、相続人全員が同じ意思で行動しなければ成立しません。

そのため、相続人の中に一人でも反対する人がいたり、連絡が取れない人がいたりする場合は手続き自体が進められなくなります。

相続人の中で「相続放棄したい」人は除外されるため同意を得る必要はありませんが、一人でも「単純承認したい」という人がいたら、限定承認はできなくなるということです。

また、相続人の誰かがすでに遺産を処分したり使ってしまい、単純承認とみなされる行為をしていた場合も限定承認は選択できません。

相続人の人数が多い家庭や、相続人同士の関係が複雑なケースでは、実務上のハードルが高い制度となっています。

手続きが非常に複雑で、時間と費用がかかる

限定承認は、家庭裁判所に申立てをすれば終わりではなく、その後も債権者への公告や財産の清算手続きなど、通常の相続よりも多くの手続きを行う必要があります。

具体的には、被相続人の財産を調査して財産目録を作成し、官報で債権者に対して請求の申し出を促す公告を行い、その後に財産を換価して債務の弁済を行うといった流れになります。

これらの手続きがすべて完了するまでには、1年以上かかるケースも珍しくありません。

また、裁判所への申立て費用だけでなく、弁護士や司法書士に依頼する場合の報酬、さらに数十万円程度の予納金が必要になることもあります。

こうした負担の大きさから、制度としては存在していても実際の利用件数はそれほど多くないのが現状です。

相続財産に不動産等がある場合には「準確定申告」が必要

相続財産の中に不動産や株式などの資産がある場合には、「みなし譲渡課税」が発生して所得税が課税されるケースにも注意が必要です。

特に、相続財産に不動産がある場合には、被相続人がその不動産を時価で譲渡したものとみなして譲渡所得として所得税の課税対象となるため、相続人が「準確定申告」をしなければいけなくなってしまうケースがあります。

なお、このようなケースでは、この後に相続人が不動産を譲渡するときは、その相続時の時価で取得したものとして譲渡所得の金額が計算されるようになります。

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限定承認の期限は?

期限は相続開始を知った時から「3ヶ月以内」

限定承認を選択する場合、相続が開始したことを知った日から3ヶ月以内の「熟慮期間」に家庭裁判所へ申立てを行う必要があります。

この期限内に何も手続きをしなかった場合、法律上は自動的に「単純承認」したものとみなされ、被相続人の借金や未払金などのマイナス財産も含めてすべて相続することになります。

そのため、負債の有無が不明な場合には、この3ヶ月の間に財産調査を進めながら相続方法を判断する必要が出てくる点に注意が必要です。

ただし、限定承認は、相続人全員の同意が必要であるうえ、家庭裁判所へ提出するための財産目録の作成なども求められます。

相続人の人数が多い場合や、財産内容が複雑な場合には準備に時間がかかるため、3ヶ月という期限は実務上かなりタイトといえるでしょう。

限定承認を検討している場合には、早めに専門家へ相談しながら手続きを進めることが重要です。

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限定承認の手続きの流れ

家庭裁判所への申立てから清算完了までのステップ

限定承認の手続きは、まず相続人全員の合意のもとで家庭裁判所へ申立てを行うことから始まります。

申立てが受理されると、相続人は債権者に対して借金の申し出を促すため、官報で公告を行い、一定期間(原則2ヶ月以上)、債権の届出を待つ必要があります。

この期間中に判明した債務を整理したうえで、不動産や有価証券などの相続財産を売却し、現金化して債権者へ公平に弁済します。これを「清算手続き」と呼びます。

すべての債務を返済しても財産が残った場合、その残額を最終的に相続人で分割します。

逆に財産が不足した場合でも、相続人が自分の財産で補填する必要はありません。

ただし、この一連の手続きは複雑で、完了までに1年以上かかることも珍しくない点には注意が必要です。

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借金が多い場合には「限定承認」と「相続放棄」のどちらを選ぶべき?

相続放棄とは

相続放棄とは、亡くなった人(被相続人)の財産を一切相続しないことを家庭裁判所に申立てて認めてもらう制度です。

相続放棄をすると、預貯金や不動産などのプラス財産だけでなく、借金や保証債務などのマイナス財産も含めてすべて引き継がないことになります。

手続きは「自己のために相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内」に家庭裁判所へ申立てを行う必要があり、この期限を過ぎると原則として単純承認したものとみなされてしまいます。

相続放棄は、相続人それぞれが単独で行える点が特徴であり、他の相続人の同意は必要ありません。

なお、相続放棄者の代襲相続は認められなくなり、被相続人の生前に相続の放棄をすることは原則としてできません。

また、相続放棄の意思表示をすると原則として撤回できない点は、単純承認と限定承認と同様です。

被相続人に多額の借金があることが明らかな場合や、財産状況が不透明でリスクを負いたくない場合には、実務上もっとも多く選ばれている相続方法です。

項目 限定承認 相続放棄
借金の扱い プラス財産の範囲内でのみ返済 一切引き継がない
手続き 家庭裁判所への申立てが必要 家庭裁判所への申立てが必要
相続人の同意 相続人全員(相続放棄者は除く)の同意が必要 各相続人が個別に放棄可能
意思表示後の撤回 原則として撤回できない 原則として撤回できない
期限 原則3ヶ月以内に申述 原則3ヶ月以内に申述
手続きの難易度 複雑で時間がかかる 限定承認に比べると簡単
どのような場合に選択すべきか 財産状況が不明な場合 借金が明らかに多い場合

借金が多い場合にはどうすべき?

被相続人に借金が多い場合、一般的には「相続放棄」を選択するケースが多いとされています。

相続放棄であれば、借金を含めたすべての財産を引き継がずに済むため、将来的な負担を確実に回避できるためです。

一方で、借金の金額がはっきりせず、プラスの財産が残る可能性がある場合には「限定承認」を検討する余地があります。

限定承認であれば、相続財産の範囲内でのみ借金を返済すればよく、万が一債務が多くても相続人自身の財産で補填する必要はありません。

ただし、限定承認は相続人全員の同意が必要であり、手続きも複雑で時間や費用がかかるというデメリットがあります。

そのため、借金が明らかに多い場合は「相続放棄」、財産状況が不明な場合は「限定承認」という考え方で判断するのが一般的です。

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まとめ

限定承認は、相続時に、プラス財産の範囲内でのみ、借金などの負債を返済する相続方法です。

限定承認の期限は相続開始を知った時から3ヶ月以内となっており、相続人全員の同意が必要など、手間やデメリットも多い点には注意が必要です。

借金が明らかに多いなら「相続放棄」、財産状況が不明なら「限定承認」を選ぶのが一般的となっています。

Q&A

Q1 限定承認とは?
A1 相続時に、プラス財産の範囲内でのみ、借金などの負債を返済する相続方法です。借金の方が多かった場合でも、相続人が自分の財産で支払う必要はありません。

Q2 限定承認の期限は?
A2 限定承認は、相続開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申告する必要があります。この期限内に手続きをしなかった場合には、「単純承認」したものとみなされてしまうため、借金が多い場合には注意が必要です。

Q3 限定承認のデメリットは?
A3 「相続人全員で手続きする必要がある」「手続きが非常に複雑で時間と費用がかかる」「相続財産に不動産等がある場合には準確定申告が必要」といった点が挙げられます。借金が明らかに多い場合は「相続放棄」、財産状況が不明な場合は「限定承認」を選ぶのが一般的です。

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