更新日:2026.5.13

相続放棄とは?手続き方法や注意点

相続放棄とは?手続き方法や注意点

相続放棄について気になっていて、「相続放棄とは?」「相続放棄の手続きや注意点は?」など疑問に思っていませんか。

相続放棄は、亡くなった人(被相続人)の財産を一切引き継がない相続の方法です。

相続放棄をすれば、借金も引き継ぎませんが、相続を知ったときから3ヶ月以内に行う必要がある点などに注意が必要です。

本記事では、相続放棄の概要、相続放棄の手続き方法、借金がある場合には限定承認と相続放棄のどちらを選択すべきかなどについて解説しています。

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相続放棄とは

プラスの財産もマイナスの財産も「全て手放す」制度

相続放棄とは、亡くなった人(被相続人)の財産を一切引き継がないとする相続の方法です。

相続では、預金や不動産などのプラスの財産(積極財産)だけでなく、借金や未払い税金などのマイナスの財産(消極財産)も引き継ぐ可能性があります。

そこで、借金などの負債が多い場合には、相続放棄を選択することでこれらの義務を回避できます。

相続放棄を行うには、被相続人が亡くなったことを知った日から原則3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述する必要がある点に注意が必要です。

手続きが認められると、その人は法律上「最初から相続人ではなかった」と扱われるため、借金の返済義務を負うこともなくなります。

なお、相続放棄をすると、預貯金や不動産などの資産も受け取れないため、相続財産の内容をよく確認したうえで判断することが重要です。

単純承認・限定承認との違いとは?

相続には「相続放棄」以外にも、財産をそのまま引き継ぐ「単純承認」、財産の範囲内で借金を引き継ぐ「限定承認」といった選択肢があります。

単純承認は、亡くなった人(被相続人)の財産をすべて引き継ぐ相続で、特別な手続きをしない限り、単純承認が自動的に成立する仕組みになっています。

限定承認は、亡くなった人(被相続人)のプラス財産の範囲内でのみ、借金などの負債を返済する相続方法です。

それぞれの特徴を理解しておくことで、自分の状況に合った方法を選びやすくなります。

相続
方法
内容 特徴
単純
承認
財産と借金をすべて引き継ぐ 特別な手続きは不要、借金も全額負担する可能性がある
限定
承認
プラス財産の範囲内で借金を返済する 借金が多くても自己資産で返済する必要はないが、相続人全員で手続きが必要
相続
放棄
財産も借金も一切引き継がない 家庭裁判所で手続きが必要、相続人ではなかった扱いになる

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相続放棄の「3ヶ月期限」

原則は「相続の開始を知った時から3ヶ月以内」

相続放棄には期限があり、原則として「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」に家庭裁判所へ申立てを行う必要があります。

この期間は「熟慮期間」と呼ばれ、相続人が財産や借金の状況を確認し、相続するか放棄するかを判断するための時間です。

申立ては、亡くなった人(被相続人)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。

この期限を過ぎてしまうと、法律上は自動的に「単純承認」をしたものとみなされ、預金や不動産だけでなく、借金などの負債もすべて引き継ぐことになります。

借金の存在に後から気づいた場合でも、期限を過ぎていると原則として放棄は認められません。

そのため、相続が発生した場合には早めに財産調査を行い、必要に応じて専門家へ相談しながら速やかに判断することが重要です。

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法定単純承認のNG行動

遺産を少しでも使うと「相続した」とみなされる

相続放棄を考えている場合には、遺産の取り扱いにも注意が必要です。

法律上、相続財産を処分したり使用したりすると「相続を承認した」とみなされる可能性があります。

これを「法定単純承認」といい、一度該当すると相続放棄は認められなくなる場合があります。

たとえば、被相続人の預金を引き出して生活費に使ったり、不動産を売却や賃貸したり名義変更したりすると、財産を処分したと判断されることがあるため慎重な行動が必要です。

また、借金だけを避けて価値のある財産だけを確保しようとする行為や、財産を隠すような行為も「背信的行為」として扱われる可能性があります。

相続放棄を検討している場合は、遺産には基本的に手をつけず、家庭裁判所での手続きや専門家への相談を優先するようにしましょう。

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相続放棄の手続き方法と必要書類

家庭裁判所への申立て手順と集めるべき書類

相続放棄を行う場合は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立てを行います。

まず、被相続人の戸籍謄本や住民票の除票、申立人自身の戸籍謄本といった必要書類を役所で取得する必要があります。

これらを揃えたうえで「相続放棄申述書」を作成し、収入印紙や郵便切手とともに家庭裁判所へ提出しましょう。

書類が受理されると、後日、裁判所から「照会書(質問状)」が送付され、相続放棄の意思や事情について回答して返送します。

この回答内容に問題がなければ、最終的に「相続放棄申述受理通知書」が発行され、正式に相続放棄が成立します。

書類収集には時間がかかる場合も多いため、3ヶ月の熟慮期間を意識して早めに準備を始めることが重要です。

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他の親族への影響は?

自分が放棄すると「次順位の親族」に借金が移る

相続放棄をすると、その人は最初から相続人ではなかったものとして扱われます。

放棄者の代襲相続人は認められません(欠格や廃除の場合には代襲相続が認められます)。

そのため、同順位の共同相続人がいる場合には、他の相続人の相続分が増加します。

たとえば、相続人が子ども3人(配偶者なし)の場合には、通常は子ども1人あたり3分の1の相続分となりますが、1人が相続放棄したら、子ども2人が2分の1ずつの相続分となります。

また、相続放棄によって、同順位の相続人がいなくなる場合には、次順位の者が相続人となる点に注意が必要です。

法律では、相続順位は次のように決まっています。

1. 配偶者と子
2. 配偶者と直系尊属(父母など)
3. 配偶者と兄弟姉妹

たとえば、子ども(第1順位)の全員が相続放棄をした場合、相続権は被相続人の親(第2順位)へ移り、親もいない場合には兄弟姉妹(第3順位)へと移行します。

その結果、借金などのマイナス財産も次順位の相続人に引き継がれる可能性があり、この仕組みを知らずに相続放棄を行うと、後になって親族が突然債権者から請求を受け、親族間トラブルに発展するケースも少なくありません。

そのため、相続放棄を検討する際には、次順位の相続人となる親族へ事前に事情を説明し、必要に応じて連続して相続放棄の手続きを行うかどうかを話し合っておくことが重要です。

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借金が多い場合には「限定承認」と「相続放棄」のどちらを選ぶべき?

限定承認とは

限定承認とは、亡くなった人(被相続人)の財産を相続する際に、プラス財産の範囲内でのみ借金などのマイナス財産を引き継ぐ方法です。

家庭裁判所に申立てを行うことで認められ、仮に借金が多かった場合でも、相続人自身の財産で不足分を支払う必要はありません。

つまり、相続した財産の範囲内で債務を精算し、残った財産があれば相続人が取得できる仕組みです。

被相続人の財産状況がはっきりしない場合や、借金と資産のどちらが多いのか判断できない場合に検討されることがあります。

ただし、限定承認は、相続人全員(相続放棄者は除く)で手続きを行う必要がある点が大きな特徴です。

また、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申立てをしなければならず、手続きには財産目録の作成なども求められるため、相続放棄と比べると実務上はやや複雑です。

項目 限定承認 相続放棄
借金の扱い プラス財産の範囲内でのみ返済 一切引き継がない
手続き 家庭裁判所への申立てが必要 家庭裁判所への申立てが必要
相続人の同意 相続人全員(相続放棄者は除く)の同意が必要 各相続人が個別に放棄可能
意思表示後の撤回 原則として撤回できない 原則として撤回できない
期限 原則3ヶ月以内に申述 原則3ヶ月以内に申述
手続きの難易度 複雑で時間がかかる 限定承認に比べると簡単
選択されるケース 財産状況が不明な場合 借金が明らかに多い場合

借金が多い場合にはどうすべき?

被相続人に借金が多い場合、一般的には「相続放棄」を選択するケースが多いとされています。

相続放棄であれば、借金を含めたすべての財産を引き継がずに済むため、将来的な負担を確実に回避できるからです。

一方で、借金の金額がはっきりせず、プラスの財産が残る可能性がある場合には「限定承認」を検討する余地があります。

限定承認であれば、相続財産の範囲内でのみ借金を返済すればよく、万が一債務が多くても相続人自身の財産で補填する必要はありません。

ただし、限定承認は相続人全員の同意が必要であり、手続きも複雑で時間や費用がかかるというデメリットがあります。

そのため、借金が明らかに多い場合は「相続放棄」、財産状況が不明な場合は「限定承認」という考え方で判断するのが一般的です。

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まとめ

相続放棄は、亡くなった人(被相続人)の財産を一切引き継がない相続の方法です。

相続放棄をするには、相続を知ったときから3ヶ月以内に手続きを行う必要がある点に注意が必要です。

借金が明らかに多い場合は「相続放棄」、財産状況が不明な場合は「限定承認」を選ぶのが一般的となっています。

Q&A

Q1 相続放棄とは?
A1 亡くなった人(被相続人)の財産を一切引き継がない相続の方法です。相続放棄すると、法律上「最初から相続人ではなかった」と扱われます。

Q2 相続放棄の手続き方法は?
A2 相続放棄をするには、相続を知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てを行う必要があります。

Q3 相続放棄の注意点は?
A3 財産も相続放棄してしまうため、借金があるとしても「限定承認」の方がよい場合があります。また、相続人が全員、相続放棄すると、次順位の人に相続権が移るため、借金が亡くなった人の親や兄弟姉妹に移動して親族トラブルになるケースに注意が必要です。

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