更新日:2025.10.10
積立NISAはそもそもどんな仕組みで運用されている?
積立NISAや新NISAのつみたて投資枠に興味があるものの、「積立NISAってどんな仕組み?」「積立NISAと新NISAの違いって?」など、お困りではありませんか?
積立NISAは、長期・積立・分散投資に適する投資信託が非課税となる仕組みとなっており、新NISAではつみたて投資枠に併合されています。
積立NISAと「新NISAのつみたて投資枠」はほぼ同じ仕組みとなっており、非課税期間が20年から恒久化され、非課税投資枠が年間40万円から120万円に拡大されました。
本記事では、積立NISAの仕組み、積立NISAと「新NISAのつみたて投資枠」の違い、積立NISAの非課税メリットや対象商品について解説しています。
Contents
積立NISAはどんな制度なのか?

積立NISAはどういう仕組みで運用されているのか?
積立NISAは、2018年にスタートした少額投資非課税制度で、金融庁が「長期・積立・分散投資」に適した制度として設計しました。
利用者は年間40万円までを上限に、毎月コツコツと積み立てを行うことができ、購入した投資信託の運用益が最長20年間非課税になります。
通常、投資信託や株式の売却益や分配金には20.315%の税金がかかりますが、NISA口座を通じて投資した場合は、この課税がゼロになります。
積立NISAの対象となる商品は、金融庁が厳しい基準を設けて選定しており、信託報酬が低く、長期の資産形成に適したインデックスファンドなどが中心です。
積立NISAは新NISAのつみたて投資枠になった
2024年からは新しいNISA制度(新NISA)が始まり、従来の積立NISAは「新NISAのつみたて投資枠」として生まれ変わりました。
最大の変更点は、非課税期間が従来の20年間から「無期限」に拡大されたことです。
これにより、投資を続ける限り非課税のメリットを受け続けられるようになり、より長期的な資産形成がしやすくなりました。
さらに、非課税で投資できる金額も大きく拡充されています。
年間投資額は従来の積立NISAの40万円から120万円まで引き上げられ、さらに「成長投資枠(年間240万円)」と合わせることで、年間最大360万円、総額1,800万円までの非課税投資が可能になりました。
とはいえ、商品ラインナップや制度の基本的な枠組みは従来の積立NISAと同じで、長期・積立・分散に適した低コストの投資信託が対象です。
なお、2018年から2023年までに積立NISAで投資した商品は、購入から20年間は非課税となる点は変わらないため安心してください。
2023年までの積立NISAと、2024年からの「新NISAのつみたて投資枠」の違いと共通点は次の通りです。
| 項目 | 積立NISA | 新NISA・つみたて投資枠 |
|---|---|---|
| 投資期間 | 2018年~2023年 | 2024年~ |
| 非課税保有期間 | 20年間 | 無制限 |
| 年間投資枠 | 40万円 | 120万円 |
| 非課税保有限度額 | 800万円 | 1,800万円(成長投資枠との合計) |
| 投資対象商品 | 金融庁の基準を満たした長期・積立・分散投資に適する投資信託 | |
| 対象年齢 | 18歳以上 | |
対象商品と購入ルール

積立NISAで購入できる商品は?
積立NISA(新NISAのつみたて投資枠)で購入できる商品は、「投資信託」と「ETF(上場投資信託)」に限定されています。
ただ、一部のETFについては制度上は対象となっていますが、実際には対応していない証券会社がほとんどのため、実務的には投資信託のみです。
対象となる投資信託は、金融庁が定めた厳しい基準をクリアしたものに限られます。
具体的には、販売手数料が無料(ノーロード型)であること、信託報酬が一定水準以下であること、頻繁に繰上償還されないことなどが条件とされており、長期・積立・分散投資に適した低コストの商品が選ばれています。
「新NISAのつみたて投資枠」の対象商品は、現在進行形で増加中です。
最新の対象商品リストは金融庁が公開しているため、投資を検討する際には公式ページを確認することをおすすめします。
詳しくは金融庁「つみたて投資枠対象商品」をご覧ください。
年間の投資上限や積立方法にはルールがある?
「新NISAのつみたて投資枠」では、年間の投資上限額が120万円と定められており、月あたりに換算すると10万円まで積立が可能です。
従来の積立NISAでは年間40万円(毎月約3万3千円)が上限だったため、投資可能額が大幅に拡大しています。
積立方法については、「積立」という形での購入が原則です。
積立頻度は「毎月」「毎週」「毎日」など柔軟に設定でき、生活スタイルや資金状況に合わせた運用が可能です。
ただし、新NISAの成長投資枠や、2023年以前の一般NISAのように、好きなタイミングで一括購入(スポット買付)をすることはできません。
積立NISA(新NISAのつみたて投資枠)は、あくまでコツコツと積み立てることを前提とした制度設計になっています。
なお、一部の証券会社では「ボーナス積立」という購入方法があり、特定の月にまとまった金額を追加で積み立てることが可能です。
ボーナス積立を活用することで、実質的にスポット購入に近い運用も可能となりますが、原則は定期的な積立である点を理解しておきましょう。
積立NISAの税制メリットと活用のポイント

積立NISAの最大の魅力である非課税とは?
積立NISAの最大の魅力は、投資によって得られる利益に税金がかからない非課税制度にあります。
通常の投資では、株式や投資信託を売却して得られる値上がり益や、配当金・分配金に対して20.315%(所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%)が課税されます。
積立NISAでは、これらの利益が非課税となり、その分だけ資産を効率的に増やすことができます。
特に長期投資では「複利効果」を最大限に活かせる点が大きな強みです。
金融庁の「つみたてシミュレーター」を使って、具体的な数値で見ていきましょう。
たとえば、毎月5万円を、20年間積み立てて、年利5%で運用した場合には、元本1,200万円、運用益829万円の合計2,029万円となります。
NISA口座を使わずに利益確定する場合には、運用益829万円の20.315%の約168万円が税金として徴収されます。
NISA口座を使って投資すれば、この分の税金が引かれないため、最終的な資産額に大きな差が生まれます。
複利効果は長期でより効いてくるため「30年間」でシミュレーションした場合には、元本1,800万円、運用益2,277万円の合計4,077万円となります。
このケースでは運用益2,277万円の20.315%が非課税となるため、NISA口座を使うだけで462万円の差が生まれる計算です。
新NISAの投資枠は何年で埋めるべき?
従来の積立NISAでは40万円×20年間を拠出しないと、投資枠をフル活用できませんでした。
新NISAは非課税期間が恒久化されたことで、この縛りがなくなっています。
投資額ごとに、新NISAの1,800万円が埋まるまでの年数は次の通りです。
| 投資年額(月額) | 必要年数 |
|---|---|
| 360万円(30万円) | 5年 |
| 180万円(15万円) | 10年 |
| 120万円(10万円) | 15年 |
| 90万円(7.5万円) | 20年 |
| 72万円(6万円) | 25年 |
| 60万円(5万円) | 30年 |
| 45万円(3.75万円) | 40年 |
SNSの株コミュニティなどでは、「新NISAは最速5年で埋めるべきだ!」といった意見が多く見られますが、一部の余裕のある富裕層などを除くと、一般的にはおすすめできるものではありません。
全ての資産を使って、新NISA枠を5年で埋めた後に、リーマンショックやITバブル崩壊クラスの大暴落のようなことが起こり得るためです。
毎月5万円を、20年間積み立てて、年利5%で運用した場合であっても、合計2,029万円(元本1,200万円、運用益829万円)となり、老後2,000万円に到達する計算です。
一般的なアドバイスとしては、新NISA枠は毎月5万円の積立を30年間続けて埋めても、まったく問題ありません。
ネット上の一部の意見に惑わされることなく、自分自身のペースで新NISA枠を最大限活用することを考えるようにしてみてください。
積立NISAと新NISAの違いは?

積立NISAと新NISAはどう違うのか?
2024年から始まった新NISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の二つに分かれています。
つみたて投資枠は、従来の積立NISAを引き継いだもので、金融庁が基準を設けた、低コストで長期・積立・分散投資に適した投資信託が対象です。
一方、成長投資枠は、従来の一般NISAに相当する制度で、投資信託に加えて株やETFなど投資可能商品がより幅広いのが特徴です。
従来の積立NISAや一般NISAは旧制度となり、非課税期間が終わった場合には、新NISAへの移行が推奨されます。
ただ、旧制度から新NISAへのロールオーバーは用意されていないため、旧制度の口座で保有している銘柄の非課税期間終了後には、次のいずれかの対応を取る必要があります。
● 旧制度の口座で売る→新NISAで同じ銘柄を買い直す
● 旧制度の銘柄が課税口座に移された後もそのまま保有する
2018年に積立NISAで買った銘柄の非課税期間は2037年12月31日で終了となり、2038年には課税口座(一般口座・特定口座)に移行されます。
なお、このとき取得価格は移行時の価格が反映されます。
たとえば、2018年に40万円分買った投資信託が、2037年12月31日時点で100万円になっていた場合には、100万円で買ったものとして課税口座に移行されるということです。
課税口座移行後に、101万円になってから売却した場合には、利益となる1万円に課税されます。
まとめ
積立NISAは「新NISAのつみたて投資枠」に移行され、非課税期間が恒久化され、非課税投資枠が大幅に拡充されました。
積立NISAの最大のメリットは運用益が非課税となることにあり、複利効果で長期になればなるほど効いてきます。
投資信託を使って資産運用をする場合には、必ず使うようにしましょう。
Q&A
Q1 積立NISAはどんな制度?
A1 金融庁の基準を満たした、長期・積立・分散投資に適する低コストの投資信託の運用益が非課税になる制度です。
Q2 積立NISAと新NISA(つみたて投資枠)はどう違うの?
A2 2024年から始まった新NISAで、積立NISAは「つみたて投資枠」に併合されました。基本制度は積立NISAと同様ですが、非課税期間が恒久化され、非課税投資枠が年間120万円(累計1,800万円)までに大幅に拡充されました。
Q3 積立NISAのメリットは?
A3 運用益が非課税になる点が最大のメリットです。このメリットは、長期になればなるほど複利効果によって大きくなります。









