更新日:2025.9.29
ETFの仕組みとは?どんなリスクがある?
ETFに興味があるものの、「ETFの仕組みって?」「ETFにはどんなリスクがある?」など、疑問に思っている方も少なくないのではないでしょうか。
ETFは「上場投資信託」と呼ばれる金融商品で、その名の通り、株のように上場している投資信託です。
ETFは新NISAの成長投資枠に対応しており、インデックス投信に比べて信託報酬がわずかに低い傾向がある一方、流動性リスクには注意が必要です。
本記事では、ETFの仕組みや投資信託との違い、ETFのメリットやリスク、ETFのポートフォリオ設計などについて解説しています。
Contents
ETFはどんな投資商品?

ETFはどんな仕組みで成り立っているのか?
ETF(Exchange Traded Fund、上場投資信託)は、証券取引所に上場しており、株式と同じように市場で売買できる投資信託です。
通常の投資信託は、1日に1回の基準価額で取引されますが、ETFは市場の取引時間中(東証では9時~11時30分、12時30分~15時30分)にリアルタイムで価格が変動し、好きなタイミングで売買できる点が特徴です。
ETFの仕組みは、投資家から集めた資金を運用会社がまとめて、株式・債券・不動産・コモディティなど複数の資産に分散投資するというもので、この部分は投資信託と同様となります。
これにより、個別銘柄への投資に比べてリスクが軽減される効果が期待できます。
また、多くのETFは特定の指数(インデックス)に連動するように設計されており、「日経平均株価」や「S&P500」といった市場全体に投資可能です。
ETFと投資信託の違いとは?
ETFは、金融商品としては「インデックス型の投資信託」と比較されることが多くなっています。
ETFと投資信託の違いをまとめると、次の通りです。
| 項目 | ETF | 投資信託 |
|---|---|---|
| 取引場所 | 証券取引所(市場で売買) | 証券会社や銀行を通じて購入 |
| 価格決定 | 市場でリアルタイムに変動 | 1日1回の基準価額で決定 |
| 売買方法 | 株式と同じように注文 | 申込と解約で取引 |
| 手数料 | 信託報酬はインデックス投信より低い傾向がある | インデックス型は低いが、アクティブ型は高め |
| 流動性 | 銘柄により大きく異なる | 基準価額に基づくため即時性は低い |
| 新NISA | 成長投資枠で投資できる | つみたて投資枠で多くの銘柄に投資できる |
新NISAでは、成長投資枠で東証ETF・米国ETFに投資可能となっています。
なお、つみたて投資枠では、一部の東証ETFにも制度上は投資可能ですが、対応している証券会社はほとんどありません。
ETFの種類と、それぞれの投資対象

どんなETFが存在しているのか?
ETFには、様々な資産クラスの多種多様な銘柄が上場しています。
東証で最も代表的なのは国内株式ETFで、「日経平均株価」や「TOPIX」といった日本株の主要指数に連動する商品から、高配当株指数やテーマ株ETFなど幅広い銘柄が上場しています。
また、米国株ETFも人気が高くなっており、「S&P500指数」や「NASDAQ100指数」に連動する銘柄が代表的です。
株式以外の資産を対象とするETFも豊富となっており、安全資産である債券ETF、REIT(不動産投資信託)に分散投資したREIT型ETF、金や原油といったコモディティETFなども上場しています。
| ETFの種類 | 連動指数 | 代表的な銘柄 |
|---|---|---|
| 国内株式ETF | 日経平均株価 | 【1321】NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信 |
| 国内株式ETF | TOPIX | 【1306】NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信 |
| 米国株ETF | S&P500指数 | 【2558】MAXIS米国株式(S&P500)上場投信 |
| 米国株ETF | NASDAQ100指数 | 【1545】NEXT FUNDS NASDAQ-100®(為替ヘッジなし)連動型上場投信 |
| 世界株ETF | MSCI All Country World Index | 【2559】MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信 |
| REIT型ETF | 東証REIT指数 | 【1343】NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信 |
| コモディティETF | 金(ゴールド)価格 | 【1540】純金上場信託(現物国内保管型 |
日本取引所グループ「銘柄一覧(ETF)」では、上場している全銘柄が公開されています。
ETFのメリットとは?

長期資産形成に向いており、安定したリターンが期待できる
ETFは、数百銘柄以上に分散投資されている指数に連動して運用されるため、個別株投資に比べてリスクが低く、長期的な資産形成に適しています。
個別株は数倍に成長する可能性もある一方で、大幅に下落して回復が難しくなる銘柄も存在します。
これに対し、指数に連動するETFは、長期的に右肩上がりの傾向が強く、安定的にプラスリターンを狙いやすいのが特徴です。
特に、米国株ETFや世界株ETFは、世界経済の成長に連動するため、年率5%前後のリターンを期待できるとされます。
また、ETFは分配金が支払われる仕組みとなっており、配当金のように証券口座で受け取ることが可能です。
分配金を同じETFに再投資する「分配金再投資」によって、長期的な複利効果を得られる点も魅力です。
低コストで運用でき、投資効率を高められる
ETFは、同じ指数に連動するインデックス投信と比べても、信託報酬が低く抑えられている傾向があります。
信託報酬は一見わずかな違いに見えますが、長期で積み立てを続けると大きな差となって現れます。
たとえば、「S&P500指数」に連動するETFとインデックス投信を比較すると、次の通りです。
| 種別 | 銘柄名 | 信託報酬 |
|---|---|---|
| 東証ETF | MAXIS米国株式(S&P500)上場投信 | 0.066% |
| インデックス投信 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.0814% |
新NISAでも大人気となっている米国株投信「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」よりも、米国株ETF「MAXIS米国株式(S&P500)上場投信 」の方が信託報酬は低くなっています。
ETFはどうやって買う?

ETFの購入はどこでできるのか?
ETFを購入するには、まず証券会社で証券口座を開設する必要があります。
ETFは「上場投資信託」という名の通り、株式と同じように証券取引所に上場されているため、取引時間中であればリアルタイムの価格で売買が可能です。
売買の注文方法や画面は株式投資とほとんど同じで、証券会社の取引ツールやアプリから手軽に注文できます。
さらに、新NISAの成長投資枠を利用してETFを購入できる点も大きな魅力です。
NISA口座を通じて投資すれば、値上がり益・分配金が非課税となるため、長期的な資産形成を進めたい人にとって有効な手段となります。
特に、「S&P500指数」や「日経平均株価」などの主要指数に連動するETFは、初心者でも取り組みやすく人気があります。
投資信託の場合は証券会社によって取り扱う銘柄が異なりますが、ETFはどの証券会社からでも全ての銘柄に投資可能です。
ただ、取引環境や手数料コストが異なるため、証券会社を比較・検討した上で自分に合った投資環境を選んでみるようにしましょう。
ETF運用のリスクは?

リスクやデメリットにはどんな点があるのか?
ETFは市場の値動きに連動するため、短期的には株式と同様に大きな価格変動が起こり得ます。
特に、株価指数やコモディティに連動するETFは、世界的な景気動向や需給の変化が直接影響し、値動きが荒くなることがあります。
また、ETFで注意したいのは「流動性リスク」です。
取引量が少ないETFでは、売りたいときに希望する価格で売れなかったり、売買のスプレッド(買値と売値の差)が広がってしまう可能性があります。
ETFは「株のようにいつでも取引できる」のは確かですが、多くの銘柄では流動性リスクなしで取引できるのは、取引量が増える朝9時00分の「寄り付き」か、15時30分の「大引け」に限られているということが実際の所です。
また、ETFには、ファンドに払う手数料として「信託報酬」がかかるため、長期的に保有する場合は、コスト負担も意識する必要があります。
ETFを活用したポートフォリオ設計

どんな投資スタイルにETFは合っているのか?
ETFは、長期的に資産を育てたい人や、コツコツと時間をかけて投資を続けたい人に適した金融商品です。
市場全体に連動するETFを利用すれば、個別銘柄を選ぶ手間をかけずに幅広い資産へ分散投資でき、安定的な資産形成を目指しやすくなります。
特に、「新NISAの成長投資枠で、毎月5万円をETFで積み立てていく」といった長期・積立・分散投資をすることで、より安全に老後資産を形成可能です。
また、ETFを使えば、国際分散投資を実現したポートフォリオを簡単に設計できます。
たとえば、世界株ETFに投資すれば、先進国から新興国まで幅広い地域の株式に自動的に分散投資でき、米国株ETFであれば世界経済の中心である米国市場全体の成長を取り込むことが可能です。
まとめ
ETFは「上場投資信託」の名の通り、株のように取引できる投資信託です。
ETFは、新NISAの成長投資枠に対応しており、米国株ETFや世界株ETF(オルカン)で長期の資産形成におすすめの金融商品です。
ETFは、同種の投資信託と比べて信託報酬が低い傾向がある一方、流動性リスクという投資信託にはないリスクがある点には注意が必要となります。
Q&A
Q1 ETFの仕組みとは?
A1 基本的には投資信託と同じですが、株のように上場しており、市場が開いている時間に取引できる点が異なります。また、新NISAでは成長投資枠で投資可能です。
Q2 ETFのリスクとは?
A2 投資信託と同様に価格変動リスクがあることに加えて、不人気銘柄や取引量が少ない時間帯には「流動性リスク」があります。流動性リスクは、人気銘柄を選んだ上で、取引量が多くなる朝9時の「寄り付き」、市場が閉まる15時30分の「大引け」に取引することで低減できます。
Q3 ETFのメリットは?
A3 投資信託と比較すると、信託報酬が低い傾向があります。









