更新日:2025.4.21
ETFと投資信託は何が違う?初心者は結局どっちを選ぶべきか
資産形成を考え始めると、「ETF」と「投資信託」という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。
本記事では、ETFと投資信託の基本的な違い、メリット・デメリット、コスト構造、税制面での影響、そして長期的な資産形成におけるそれぞれの役割について、徹底的に解説します。
Contents
ETFと投資信託の基本的な違いとは?

まず、ETFと投資信託の基本的な仕組みの違いから確認していきましょう。
両者は「多くの投資家から資金を集め、運用の専門家が株式や債券などに分散投資する」という点は共通していますが、決定的な違いはその「取引方法」と「取引される市場」にあります。
ETFと投資信託の根本的な違い:上場しているか、していないか
● ETF(上場投資信託)
○ 証券取引所に上場しており、株式と同じようにリアルタイムで市場価格にて売買されます。
○ 取引時間中であれば、刻々と変動する価格を見ながら、ご自身の判断で売買タイミングを決めることができます。
○ 指値注文や成行注文といった、株式と同様の注文方法が可能です。
● 投資信託
○ 証券取引所には上場しておらず、主に証券会社や銀行などの販売会社を通じて購入・解約します。
○ 価格は1日に1回算出される「基準価額」に基づいて決定されます。
○ 注文を出した日の取引終了後に基準価額が確定するため、リアルタイムでの価格変動を追う必要はありません。
運用方法と売買方法の違いが投資戦略に与える影響
アルタイムで価格が変動し、株式のように取引できるETFは、市場の動向を注視しながら機動的に売買を行いたい方や、特定の価格での取引を希望する方に適しており、短期的な価格変動を捉えるような投資戦略にも活用できます。
一方、投資信託は1日1回の基準価額で取引されるため、日中の価格変動に一喜一憂することなく、長期的な視点で資産形成に取り組みたい方に適しています。
手数料構造の違い:長期リターンへの影響を具体例で確認
ETFと投資信託では、主に以下の手数料が発生します。
● 購入時
○ ETF:売買手数料(証券会社ごとに異なる。無料の場合も多い)
○ 投資信託:販売手数料(無料の「ノーロード」商品も多数)
● 保有期間中
○ ETF:経費率(信託報酬を含む保有コスト。一般的に投資信託より低い傾向)
○ 投資信託:信託報酬(運用管理費用。商品により様々だが、ETFよりやや高い傾向。近年は極めて低コストの商品も増加)
● 売却時
○ ETF:売買手数料
○ 投資信託:信託財産留保額(基準価額から差し引かれる場合がある。かからない商品も多い)
【具体例:年率0.1%の手数料差が長期的に与える影響】
仮に、ETFの経費率が年率0.1%、投資信託の信託報酬が年率0.2%で、どちらも年率5%のリターン(税引前)が得られたとします。100万円を投資した場合、手数料差による資産額の違いは以下のようになります。
| 投資期間 | ETF(経費率0.1%) | 投資信託(信託報酬0.2%) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 10年後 | 約161.2万円 | 約159.6万円 | 約1.6万円 |
| 20年後 | 約259.9万円 | 約254.7万円 | 約5.2万円 |
| 30年後 | 約419.8万円 | 約407.2万円 | 約12.6万円 |
※上記はあくまでシミュレーションです。実際の運用成果を保証するものではありません。
わずかなコスト差でも、長期にわたる運用では無視できない影響を与えることがわかります。
保有コストである信託報酬(経費率)を重視することは、資産形成において非常に重要です。売買手数料も含めたトータルコストで比較検討することが肝要です。
投資初心者にとっての扱いやすさ:どちらが始めやすい?
これから投資を始める方にとって、「始めやすさ」「続けやすさ」は大切なポイントです。
● 最低投資金額:
○ ETF:株式同様、基本的に1口単位の取引。銘柄によっては数万円以上の資金が必要な場合も。
○ 投資信託:100円や1,000円といった少額から購入可能な商品が多く、始めやすい。
● 購入手続き:
○ ETF:証券口座で株式と同様に注文。投資経験者には馴染みやすいが、初心者にはややハードルが高い可能性も。
○ 投資信託:証券会社や銀行のウェブサイトなどで比較的簡単に手続きでき、積立設定も容易。
手軽さや始めやすさという点では、投資信託に分があると言えるでしょう。
投資1年目の注意点:典型的な失敗と対策
投資を始めたばかりの頃に陥りやすい失敗パターンとその対策を知っておくことも大切です。
特に長期的な資産形成においては、コストを意識し、感情に左右されずに計画的に投資を継続することが重要です。
1. 価格変動への過剰反応
○ リアルタイムで値動きが見えるETFでは、短期的な下落に動揺して売却してしまう。
○ 対策:長期的な視点を持ち、投資目的を再確認。積立投資を活用し、購入タイミングを分散する。
2. コスト意識の欠如
○ コストを確認せずに商品を選び、長期的なリターンを損なう。
○ 対策:購入時だけでなく、保有中にかかるコストを比較検討する。
3. 分散不足
○ 複数の商品に投資しても、投資対象が偏り、リスク分散効果が薄れる。
○ 対策:投資対象が異なる資産クラスや地域に分散されているか確認する。コア・サテライト戦略などを検討する。
4. 短期売買の繰り返し
○ 長期投資のつもりが、目先の利益を追って頻繁に売買し、手数料がかさむ。
○ 対策:売買ルールを決め、感情的な取引を避ける。
人気のS&P500指数、投資するならETF?投資信託?

米国の代表的な株価指数であるS&P500への投資は、非常に人気があります。この指数に連動するETFと投資信託、どちらを選ぶのがご自身にとって有利なのでしょうか。
S&P500連動商品:ETFと投資信託の比較検討
結論から申し上げますと、どちらが絶対的に優れているということはなく、投資家の状況や重視するポイントによって最適な選択は異なります。
● 手数料(信託報酬・経費率)の比較
○ 米国籍ETF
年率0.03%程度と極めて低コスト。ただし、外国株式口座が必要で、為替手数料や売買手数料も考慮が必要です。
○ 国内上場ETF
年率0.07%~0.1%程度。
○ 低コスト投資信託
年率0.09%台と、国内ETFと遜色ないレベルまで低下。近年、投資信託のコスト競争が進み、国内で投資する場合のETFとのコスト差は縮小傾向。
● パフォーマンス
○ 同じ指数への連動を目指すため、長期的にはコスト差がパフォーマンスの差となって表れる傾向にあります。
● 税制面(分配金・配当金の再投資)
○ ETF
配当金は一度課税(約20%)された後に口座に入金され、再投資は手動で行う必要があります。最低購入単位や売買手数料も影響します。
○ 投資信託
「再投資コース」を選べば、分配金は税引き前に自動で再投資されます。これにより、複利効果をより効率的に享受できます。(課税は将来の売却時まで繰り延べ)
【具体例:100万円投資時の税引き前再投資効果】
具体的に計算してみましょう。
<前提条件>
● 投資元本:100万円
● 年間の値上がり益:5%
● 年間の配当金・分配金利回り:2%
● 税率:20%(所得税・住民税)
● 信託報酬・経費率、売買手数料等は考慮しない簡略化した計算とします。
● ETFの配当金は課税後に全額再投資、投資信託の分配金は税引き前に全額再投資されるものとします。
| 投資期間 | ETF (年率6.6%複利) | 投資信託 (年率7.0%複利) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 10年後 | 約 189.3万円 | 約 196.7万円 | 約 7.4万円 |
| 20年後 | 約 358.4万円 | 約 387.0万円 | 約 28.6万円 |
| 30年後 | 約 678.7万円 | 約 761.2万円 | 約 82.5万円 |
※上記はあくまで特定の条件下でのシミュレーションであり、将来の運用成果を保証するものではありません。実際の運用では、基準価額の変動、信託報酬、税制の変更など様々な要因により結果は異なります。
このシミュレーション結果から、分配金を税引き前に再投資できる投資信託の方が、課税口座で長期運用した場合、複利効果によって資産がより大きく成長する可能性があることがわかります。
S&P500投資、どちらを選ぶべきか?
● ETFが適している可能性が高い方
○ 極限までコストを抑えたい(特に米国ETFを許容できる方)
○ リアルタイムでの市場取引や指値注文を行いたい
○ 配当金を定期的に受け取りたい(再投資の手間は許容)
● 投資信託が適している可能性が高い方
○ 少額からコツコツ積立投資をしたい
○ 分配金の再投資を自動化し、複利効果を最大化したい
○ 日中の価格変動を気にせず、長期目線で投資したい
○ NISAを積極的に活用したい
長期的な資産形成、特に積立投資においては、再投資の効率性やNISA制度との親和性の高さから、低コストな投資信託に優位性があると考えるケースが多いです。しかし、取引の自由度や多様な商品ラインナップ(特定のセクターETFなど)を求める場合は、ETFも有力な選択肢となります。
メリット・デメリットを整理:ETFvs投資信託

ここで、ETFと投資信託のメリット・デメリットを一覧表で整理し、比較してみましょう。
ETFと投資信託のメリット・デメリット比較
| 項目 | ETF | 投資信託 |
|---|---|---|
| 取引場所 | 証券取引所 | 証券会社、銀行など |
| 取引方法 | リアルタイム売買(成行・指値など) | 1日1回の基準価額で売買 |
| 価格透明性 | 高い(市場価格が常時確認可) | 低い(注文時に約定価格不明) |
| 売買自由度 | 高い(取引時間内いつでも、信用取引・空売りも可) | 低い(1日1回) |
| 最低投資金額 | 銘柄による(1口単位、数千円~数万円) | 少額から可能(100円~) |
| 信託報酬(経費率) | 低い傾向 | やや高い傾向(低コスト商品増加中) |
| その他手数料 | 売買手数料(証券会社による) | 販売手数料(無料も多い)、信託財産留保額(かかる場合あり) |
| 分配金/配当金 | 配当金(自動再投資不可、課税後に手動) | 分配金(自動再投資コースあり、税引前再投資可) |
| 積立投資 | 証券会社により可、投資信託ほど手軽ではない | 設定が容易、少額から可能 |
| 商品種類 | 豊富(指数連動型が中心、多様なアセットクラス) | 極めて豊富(アクティブファンドなど多様) |
| 流動性 | 銘柄による(人気銘柄は高い) | 換金性は担保(基準価額での売却) |
| 価格乖離リスク | 市場価格と基準価額の乖離リスクあり | 基本的になし |
流動性と売買タイミングの自由度
ETFのリアルタイム取引と高い流動性は、機動的な取引を望む投資家には大きなメリットで、市場の急変に対応したい場合などに有効でしょう。
一方、投資信託は売買タイミングの自由度はありませんが、それがかえって長期投資における冷静な判断を助ける側面もあります。
分配金・配当金の再投資と複利効果
複利効果を効率的に享受できるのは、分配金の税引き前自動再投資が可能な投資信託で、長期的な資産形成においては、この差が将来の資産額に大きな影響を与える可能性があります。
配当金・分配金の違いと長期投資への影響

配当金(ETF)と分配金(投資信託)について、もう少し詳しく見ていきましょう。
ETFの配当金と投資信託の分配金:性質と注意点
● ETF
主に保有する株式の配当や債券の利子が原資です。基本的に利益から支払われます。
● 投資信託
利益が原資となるのが基本ですが、注意が必要なのは「特別分配金」です。
これは、運用益が出ていない状況でも、元本の一部を取り崩して支払われるもので、実質的には投資元本の返還にあたります。分配金利回りが高いからといって、必ずしも運用成績が良いとは限らない点に留意が必要です。
受取方法、課税タイミング、再投資の手間
ETFと投資信託の配当金/分配金比較(再投資の観点)
| 項目 | ETF(配当金) | 投資信託(分配金)-再投資コース |
|---|---|---|
| 課税タイミング | 受取時(約20%源泉徴収) | 売却時(利益に対して課税、繰り延べ効果) |
| 再投資方法 | 手動(課税後の資金で買い付け) | 自動(税引前の資金で買い付け) |
| 再投資の手間 | あり(最低単位、手数料考慮) | なし |
| 複利効果 | やや効率が劣る可能性 | 効率的に享受可能 |
長期的な資産形成を目指す場合、課税の繰り延べ効果と自動再投資による複利効果を最大限に活かせる投資信託の再投資コースは、非常に合理的な選択肢と言えます。
一方、定期的な収入を得たい場合は、ETFの配当金や投資信託の受取コースが適しています。
「ETFは長期投資に向かない」は本当か?

「ETFは長期投資に向かない」という意見の背景には、配当金の自動再投資機能がない点、売買手数料の存在、リアルタイムの値動きによる心理的な影響などが挙げられます。
しかし、これらの点が必ずしもETFを長期投資に適さないとするわけではありません。
● コストの優位性
ETFは依然として経費率が低い商品が多く、これは長期投資において非常に大きなメリットです。
● 配当金の再投資
手間はかかりますが、意識的に行えば複利効果を得ることは可能です。証券会社によっては再投資サービスも提供されています。
● 心理的な影響
これはETFに限らず、投資全般に言えることです。長期投資の計画を立て、それに沿って行動することが重要です。
長期投資におけるパフォーマンスは、主に投資対象とトータルコストによって決まります。低コストなETFを長期保有し、配当金を適切に再投資すれば、十分に長期投資の選択肢となり得ます。
ただし、「手間なく、より効率的に複利効果を享受したい」と考えるならば、投資信託の方が仕組みとして適していると言えるでしょう。
ETFで長期投資を行う際の注意点
● トータルコスト(経費率+売買手数料)を意識する。
● 配当金の再投資を計画的に行う、またはサービスを利用する。
● 流動性の高い銘柄を選ぶ。
● テーマ型ETFなど、リスクの高い商品はコア資産ではなくサテライトとして位置づける。
結論として、ETFが長期投資に不向きということはありませんが、投資信託の方が長期投資をより「手軽に」「効率的に」行える仕組みを備えているといえます。
まとめ:ご自身の投資目標に最適な選択をするために
ETFと投資信託、それぞれの特徴をご理解いただけたでしょうか。
どちらを選ぶかは、ご自身の投資目標、期間、リスク許容度、そして投資にかけられる手間などを総合的に考慮して判断することが大切です。
あなたの投資スタイルに合った選択肢は?
● 投資初心者の方、少額から積立を始めたい方
○ 投資信託が始めやすいでしょう。特に低コストなインデックスファンドの再投資コースは、長期的な資産形成の王道です。
● コストを最重視する方、機動的な取引もしたい方
○ ETFも有力な選択肢です。特に米国ETFの低コストは魅力的ですが、為替リスクや外国株式取引の手間も考慮しましょう。
● 複利効果を最大限に活かしたい長期投資家
○ 投資信託(再投資コース)の税引き前再投資のメリットは大きいです。
● 多様な投資戦略を実践したい経験者の方
○ ETFと投資信託の組み合わせが有効です。コア資産は低コスト投信/ETF、サテライトで特徴的なETFを活用するなど、柔軟なポートフォリオ構築が可能です。
● 定期的な収入が欲しい方
○ ETFの配当金や投資信託の分配金(受取コース)が選択肢になります。
上記はあくまで一般的な目安ですので、より具体的なアドバイスが欲しいと感じられた場合は、信頼できるファイナンシャルプランナーにご相談いただくことも有効な手段です。
この記事を参考に賢い資産形成を進めていきましょう。









