更新日:2025.7.28
新NISAの1800万円上限はどう使うべきか?売却時や超過時の注意点
新NISAについて、「新NISAの1,800万円上限はどう使うべき?」「新NISAを売却したらどうなるの?」など、疑問に思っている方も少なくないのではないでしょうか。
新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の合計で累計1,800万円まで投資できますが、枠は限られているため、長期の成長性の高い商品に使った方が有益です。
新NISAが始まった2024年以降、「新NISA枠は最速5年で埋めるべき!」といった意見がSNSを中心に広まっていますが、多くの人にはリスクが大きいためおすすめできません。
本記事では、新NISAの1,800万円枠の仕組み、1,800万円の上限に達した後や売却時について、1,800万円枠の使い方について解説しています。
Contents
そもそも新NISAの1800万円ってどんな仕組み?

新NISAの1800万円上限にはどんな意味があるのか?
新NISAでは、「生涯非課税で投資できる枠(生涯投資枠)」が1,800万円に設定されています。
この上限には、「つみたて投資枠(年間120万円、累計1,800万円まで)」と「成長投資枠(年間240万円、累計1,200万円まで)」の2つの枠で投資した金額が合算してカウントされます。
| つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
|---|---|---|
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 累計投資枠 | 1,800万円 | 1,200万円 |
| 投資対象商品 | 長期・積立・分散投資に適した金融庁指定の投資信託 | 上場株式や投資信託など |
つまり、仮に年間360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)を満額で投資した場合には、5年間で1,800万円の上限に到達する仕組みです。
なお、生涯投資枠1,800万円というのは「購入額(簿価)ベース」での上限であり、値上がりして含み益が出ていても非課税で運用を継続できます。
例えば、累計1,500万円分投資していて、含み益が500万円ある場合には、資産額は2,000万円ですが、購入額ベースは1,500万円のため、残り300万円分投資できます。
上限に達した後の運用はどうなるのか

1800万円を超えたら投資できなくなるのか?
新NISAで1,800万円を使い切った後は、これ以上「非課税枠」での追加投資はできませんが、課税口座(特定口座や一般口座)を通じた投資は引き続き可能です。
よくあるケースとしては、新NISA枠で投資している個別株やETF(上場投資信託)の配当金や分配金を再投資する場合です。
新NISA枠を使い切ってしまっていた場合には、課税口座で再投資するしかありません。
新NISA口座で投資した商品については値上がり益・配当金ともに非課税となりますが、課税口座では20.315%の税金が発生します。
非課税枠を最大限活用したい場合には、どの商品をどの枠で買うかは戦略的に決めておく必要があります。
長期的に大きな値上がり益や配当金・分配金が期待できる個別株や投資信託は新NISA枠で投資し、あまり大きな利益は期待できないローリスク・ローリターンのディフェンシブ型の商品は課税口座で投資すべきです。
新NISA枠で投資した商品は恒久的に非課税となるため、ディフェンシブ型の商品に使うのはもったいないと言わざるを得ません。
売却と枠の関係

新NISAで1800万円分の資産を売却したら枠は復活するのか?
新NISAでは、1,800万円の生涯投資枠を使い切った後でも、売却すれば翌年に「簿価分(購入時の金額分)」が非課税枠として復活します。
例えば、成長投資枠で1,000万円分の個別株を購入しており、1,200万円に値上がりしていたケースについて考えてみましょう。
このとき全ての株式を売却すると、200万円の利益に対して非課税となります(通常の課税口座だったら、20.315%分、約40.63万円の税金が発生します)。
そして翌年に、成長投資枠で1,000万円分の非課税投資枠が復活します。
口座の10%分だけ、部分的に購入額100万円(利益を含めると120万円)分を売却した場合には、翌年に購入額100万円分の非課税投資枠が復活する仕組みです。
注意点としては、枠の復活は即時ではなく「翌年以降」となる点です。即時、再利用はできない点に注意しておいてください。
つまり、新NISA枠は、何度も資金を回転させて利益を上げるデイトレードやスイングトレードなどの短期投資に使うことには向いていません。。
新NISA枠は、中長期での保有を前提とした銘柄への投資に向いている制度であると認識しておくようにしましょう。
売却せずに保有を続けるリスク

引き出しも売却もしない場合の注意点はあるのか?
新NISAで購入した資産は、売却せずに保有し続けることで非課税メリットを享受し続けられますが、個別株などの商品によっては「ずっと放置」はかえってリスクになる場合もあります。
例えば、20代の現在には半導体株などの成長産業の銘柄を保有していても、これから20〜30年後になると他の新しい産業が半導体やITに代わっている場合があるためです。
現在、株式市場の主役はITや半導体、AIなどですが、かつてはUSスチールのような鉄鋼業が主役だった時代もありました。
個別株の場合には、含み益が出ている商品を放置することで「売却タイミング」を見失うケースも少なくありません。
例えば、政府クラウド銘柄として2023年から2024年3月に掛けて急騰した【3778】さくらインターネットは、2024年3月以降は大暴落となっています。
このように個別株の場合には、新NISAで放置し続けることがリスクになる可能性があります。
一方、S&P500指数やオルカン(全世界株式)に連動するインデックス型投資信託は、時価総額加重平均型となっているため、株価と構成銘柄を通して産業構造の変化が反映されます。
インデックス投資は、長期・積立・分散投資が大前提であり、リバランスは必要ありません。新NISAでインデックス投資が人気となっている理由の一つです。
新NISAで投資する上では、インデックス投資と個別株投資の違いについて押さえておくようにしましょう。
| 比較項目 | インデックス投資 | 個別株投資 |
|---|---|---|
| リスクの大きさ | 分散されているため比較的低い | 大きい。長期では産業構造の変化もあり。 |
| リターン | 市場平均に近い安定した成長を期待できる | 銘柄選び次第で大きな利益も狙える |
| 手間・難易度 | 初心者にも扱いやすい、ほったらかしで問題ない | 銘柄分析や決算チェックが必要 |
| 向いている枠 | つみたて投資枠(ETFは成長投資枠) | 成長投資枠 |
| 投資スタイル | 長期・分散・積立向き | 短中期の値上がり益狙いに向いている |
非課税枠の戦略的な使い方とは?

1800万円枠を最大限に活かすには?
新NISAの非課税枠1,800万円は、どの商品にどの枠を使うかを戦略的に考える必要があります。
基本的な考え方は、「長期的な成長が期待できる商品ほど優先して新NISAで投資すべき」というものです。
ローリスク・ローリターンの商品と、ハイリスク・ハイリターンの商品に投資するなら、新NISA枠ではハイリスク・ハイリターンの商品に投資すべきということです。
より具体的には、債券を中心に構成されているローリスク・ローリターンの投資信託よりも、S&P500指数やオルカンのような成長が期待できる投資信託を新NISAで運用すべきとなります。
なお、新NISAは、あくまで非課税投資枠に過ぎません。
近年は、新NISAとインデックス投資について混同して理解しているケースが非常に多くなっています。
S&P500指数やオルカンといったインデックス投資は、年率10%前後の成長が期待できるため、課税口座で行っても有益な投資です。
個別株投資では、中にはエヌビディアやレーザーテックのように100倍以上の値上がりとなる銘柄もありますが、長期だとマイナスになる可能性も小さくありません。
また、個別株投資で成功するには、株式投資に関する知識やスキルが不可欠です。
長期的な期待値という点では、投資初心者にはインデックス投資が最も合理的であり、新NISAでも最有力候補になるかと思います。
新NISAは、あくまで20.315%の税金が掛からない口座であり、インデックス投資のメリットをさらに増やす仕組みであるという点を理解しておくようにしてください。
1800万円枠をすぐに埋めることはおすすめできない
新NISAが始まった2024年以降、SNSなどでは「新NISAの1,800万円枠はすぐに埋めるべき!」という主張が目立ちますが、これは必ずしも万人に当てはまる戦略ではありません。
確かに、資産に余裕のある人であれば、早期に枠を使い切ることは有効ですが、大半の人にとっては暴落リスクを考慮すべきです。
また、生活資金を削ってまで新NISAに回すと、日々のQOL(生活の質)が下がってしまい、本末転倒です。
現実的には、「毎月5万円をS&P500指数やオルカン(全世界株式)で積み立てて、30年かけてコツコツと非課税枠を埋める」くらいの長期・積立・分散スタイルが堅実です。
これなら暴落時も慌てずに済み、ドルコスト平均法のメリットも得られます。
1,800万円という枠を「今すぐ」使い切る必要はまったくなく、人生全体のQOLを最大化するように、自分の収入や家族のライフプランに合わせて柔軟に活用するようにしましょう。
1800万円枠を最速5年で埋めてもよい人とは?
一つの目安として、新NISA枠1,800万円の2倍以上の余裕資産があり、新NISA枠1,800万円を最速5年で埋めて以降も投資を継続できるなら、最速5年で埋めても問題ありません。
繰り返しになりますが、資産に余裕がない方が「全資産を新NISAに費やす」はリスクが大きいため、おすすめできません。
S&P500指数やオルカンのようなインデックス投資であっても、リーマンショック級の暴落相場が来た場合には、半値以下になるリスクがあります。
2008年リーマンショックの際には、S&P500指数は半値以下にまで暴落し、2007年10月の高値を回復したのは2013年4月と、回復するまで5年6ヶ月掛かりました。
新NISAに全資産をつぎ込んだ後に、同じような暴落が起きた場合、耐えられる自信はあるでしょうか?
「持っていれば回復する」はその可能性は大きいですが、現在進行形で資産が半分になってしまった状態は、精神に大きなダメージを与えることは間違いありません。
まとめ
新NISAの1,800万円枠は、「毎月5万円をS&P500指数やオルカン(全世界株式)で積み立てて、30年かけてコツコツと非課税枠を埋める」といった使い方をすることが堅実です。
SNSでは「新NISA枠は最速5年で埋めてしまうべき!」といった意見が目立ちますが、多くの人にとってはリスクがあるのが現実です。
新NISAは、人生全体のQOLを最大化するために使うようにしましょう。
Q&A
Q1 新NISAの1,800万円上限はどう使うべき?
A1 投資初心者は、S&P500指数やオルカンに連動するインデックス投資が最も期待値が高いと言えます。
個別株投資は夢があるものの、リスクが高く、長期では手間も掛かります。
Q2 新NISAを売却したらどうなる?
A2 購入時の簿価分の枠が、翌年になると復活します。枠が復活するのは翌年である点に注意してください。
Q3 新NISA1,800万円は最速5年で埋めるべき?
A3 SNSでは目立つ意見ですが、余裕資産が十分ある人を除くと、リスクが大きく、暴落時にはQOLを著しく削ぐ可能性が高い危険な行為です。
毎月5万円を積み立てていき、30年で埋めるなど、QOLを考慮した使い方がおすすめです。









